ほんの数ヶ月間、友達だった転校生のこと

a928

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学校の4年のころ、近くに建築宿泊所兼資材置き場があった。

ある日、Kという転校生が来た。そこの子だった。

Kは転校が多かったからなのか、
あまり友達の出来ないタイプだったからなのか、
いつも一人だった。

僕の家と彼の住む宿泊所が目と鼻の先だったので、
僕とKはすぐに友達になった。

僕は入ったことがない宿泊所の中に、何度も入れてもらい、
意味もなく有頂天だったし、
Kも僕の家に来て一緒に遊んだ。

Kは、ほんの数ヶ月で転校していって、
僕もしばらくして、Kのことは忘れてしまっていた。

やがて宿泊所は無くなり、歳月は流れ、
バブルがやってきて、そこはマンションになった。

最近、家の近所にヤクザそのまんまのベンツが停まっていた。

その前を通ると、中からやはりヤクザそのまんまの男が降りてきた。

こっちを凝視するその男に警戒し、
僕は子供の手を握った>>>

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の男は礼儀正しく、僕に話しかけてきた。

「25年ほど前、あそこにあった宿泊所をご存じですか?」

僕は、その男を土地の権利関係のブローカーだと思った。

「憶えてますよ」と答えた。

男の表情がやや緩み、言った。

「○○(僕の名前)さんですか?」

「そうです」

「あそこに25年前住んでて、
 一時期□□小学校にいた子を憶えてますか?」

「Kか?」

「そうです!!」

僕が名前を憶えていたのが、よほど嬉しかったのか、
Kの目は、その場でみるみる潤んできた。

この四半世紀、どんな人生を送ってきたのかは、
推して知るべし、家に誘うとKは固辞した。

「あんたのお母さんは、優しくて上品で、
 映画の中にいるような人でした。

 俺は、あんたに遊んでもらったことよりも、
 あのお母さんが忘れられないんです。

 だから……会えないです」

同級生だった僕との会話にKは、ちょっと変ではあるが、
終始敬語で通した。

また必ず会いに来るから、と名刺を渡してKは去って行った。

今年、Kから年賀状が来た。

「お母さんに今度ご挨拶にうかがいたいと思っております」

とあったから、僕も返事を書いた。

「うちの母もKのことは、よく憶えてるそうです」と。

ちなみに、うちのオフクロは、せがれの僕に言わせれば、
おっそろしいババァなんだが。

それでも、少年時代、お母さんのいなかったKにとっては、
素晴らしい母親に見えていたのだろう。

参考:泣ける2ちゃんねる(コアマガジン)

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