オヤジだけになつく変な犬、でも実は・・・

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、うちで飼ってた犬は元捨て犬で、意地っ張りだった。

いい加減大きくなってから飼い始めたこともあってか、
それとも人間不信からか、しばらくの間は俺たちに対しても唸り続けていた。

俺たちがエサをやろうとすると、時折歯を見せて威嚇することもある。

なのにオヤジに対してだけは、拾ってくれた恩義を感じているのか、ものすごく従順だった。

オヤジがエサをやりにいくと、背筋をビシッと伸ばしてかしこまり、
「食べてよし」と言うまで絶対に口をつけることはなかった。

まあその犬と俺との距離感はそんな感じだったから、
俺はあんまりそいつを可愛がらなかった。

ある日の夜、オヤジと一緒に犬の散歩中、俺はふざけて自転車を運転していた。

ふざけて手放し運転をしてるうちに派手にコケてしまい、
頭をパックリやってしまった。

予想外の出血にオヤジは動転し、俺の止血も忘れて人を呼びに行ってしまった。

俺はと言うと、最初は大したことないと思っていたし、
オヤジがすぐ戻ってくれるだろうとおとなしく待っていた。

しかし、頭からの出血はなかなか止まらなかった。

ボタボタと流れ落ちる血を見て、俺はだんだんと不安になり、
座り込んでベソをかいていた。

その時だ。とても信じられないことが起こったのだ。

その犬がとった行動とは・・・>>>

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段なら、オヤジべったりの犬だったが、

このときばかりはオヤジについて行こうとしなかったのだ。

俺にピタッと寄り添い、オヤジが帰ってくるまでの間、
コイツは俺のそばにずーっと立っていた。

それだけじゃない。

病院に行く途中に、俺から引きはがそうとしても、
頑として、コイツは俺のそばを離れようとしなかったのだ。

ああ、コイツは、俺のことを守ってくれてるんだなと思ったら、

それまで可愛くないからと、殴るふりをしたり
目の前でわざとエサを遠くに置いたりしたことを思い出して、俺は泣いた。

そいつと俺との距離は、それから急速に縮まった。

そして、それから5年ほど経って、そいつは病気で死んだ。

毛布にくるみながら、お前のことは忘れないよと、全身をなでてあげた。

なでたりさすったりしながら、また俺は泣いた。

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