【友達の息子】叩けば何でも出てくるポッケ

019
のぽっけすごいねんで!!(`・ω・´)三3ムフー!!」

そう言って幼稚園の制服のポケットを
パンパン叩いてた友達Aの息子。

ポケットにはハンカチ、ティッシュ、お菓子、
小指の先サイズのドラえもん、母親とのプリクラ、
それにムシキングカードなどなど…
その子にとっての宝物が詰まってた。

「ぽっけ叩いたら欲しいもん
 何でも出てくんねん(`・ω・´)三3フンフン!!」

それを聞いて少しイジワルを言ってみた。

「じゃあミニカー出してみて」

前から欲しがっていて 持っていないことは知っていた。

その子はムキになって
「あるもん!!フン!フン!」とポケットをパンパン叩いて
宝物を散らかしていった。

私はその子のスキを見て、あらかじめ買っておいたミニカーを
そっとポケットに忍ばせた。

「フン!…あっ!! …フフ~ン♪」
得意気に出てきたミニカーを私に見せびらかしてたが、
物陰で
(´・ω・`)??
みたいな顔してた。かなり萌えた。

ある日Aが死んだ。

脳溢血だった。

職場で突然倒れそのまま逝ってしまった。

友達はいわゆるシングルマザーで、
家族は60を過ぎた御両親だけ。

私達も悲しみにくれる間も殆ど無く、
葬儀の準備の手伝い、関係者への連絡などで忙殺されていた。

その間、彼はずっとジュウレンジャーの絵本を
何度も何度も読んでいた。

通夜が始まりしばらく経った頃、彼が居ないことに気付いた。

私と手の空いた者が付近を探した。

居ない、どこに行ったんだ?>>>

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ばらく探していると友達Bから着信。
小さな公園で見つけたとのこと。

急いで駆けつけると、Bは公園の入口で、
どういうワケかうずくまって泣いていた。

フッ…と公園の中を見ると彼が居た。

暗い街灯の下、
「…お母さん、お母さん…お母さん…」
と泣きながら必死にポケットを叩いてた。

周りには宝物が散らばっていた。

恥ずかしながら20代女、その子慰める前に
しばらくの間 泣き崩れてしまいました。

声を殺して抱きしめることしか出来なかった。

いつの間にか集まってたみんなも泣いていた。

あの日は全てが悲しくて仕方がなかった。

あれから二年…。

もうポケットは叩かれることは無くなった。

代わりに
「ぐらふぃっくあーてぃすとになんねん(`・ω・´)三3ムフー!!」
が口癖になった。

最近、ずっと絵を描いてるのはソレだったのか。

どうやらBが 「お母さんの夢やったんよ」 と教えたらしい。

その話を聞いた瞬間、また泣いてしまった。

子供の言葉で、何だかこっちの方が救われた気がしたんです。

少し画家と混同しているみたいだけど、頑張れ。
君には5人のお母さんがついてるぞ。

その日までちゃんとAの分まで全力で見守ってるからね。

出典URL:http://sharetube.jp/article/2468/

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