モスバーガーのおばちゃん

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スバーガーってご存じですか?

日本生まれのハンバーガーチェーンで、
作り置きをせず、すべて注文を受けてから作ります。

スタッフの人も、おっちゃん、おばちゃんが多いようです。

高校生や大学生バイトの、溌剌とした姿もいいですが、
おっちゃん、おばちゃんたちは、とても自然体です。

さて、ある日の夕方のこと、
Aさんは、いつものようにテリヤキバーバーを頬張りながら、
何となくカウンターの方を見ていると、若い女性がやってきました。

彼女が注文をしました。

「●●●●バーガーください。
 トマトとケチャップは多めで。
 タマネギは抜いてください」

よくある注文です。

しかし、それに対する返事が、よくある返事ではなかったのです。

おばちゃんアルバイトの、その店員さんが言いました。

「あんた、タマネギ嫌いなの?
 若いうちから好き嫌いはだめよ。タマネギは栄養の宝庫なのよ。
 あんた。まだ独身でしょ。

 これから結婚して子供を生んで、旦那さんの面倒を見ていくのに、
 栄養つけなきゃだめ。
 ちょっと火を通しといてあげるから食べてごらん。
 だまされたと思って。ほんとにおいしいのよ。
 いいわね」

その女性、あっけにとられて思わず、
「はい、お願いします」

ちょっとお節介すぎるんじゃないかと、
見てる側のAさんは、ハラハラしたといいます。

窓際のカウンターで食べ始めた彼女。

その目に涙が浮かんでいるのに気づきました。

やっぱりタマネギが辛かったのでしょうか?>>>

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さんは、彼女の涙を想像しました。

彼女は、たぶん東京で一人暮らしをしているのでしょう。

一人だけの侘しいハンバーガー・ディナー。

それが、おばちゃんアルバイトのひと言で、
心温まる時間になったのではないか。

長いこと、誰からも、
こんな言葉をかけてもらったことが
なかったんじゃないかな。

嬉しかったんだ、きっと。

そう思いたいAさんでした。

帰り際のカウンターで、女性がおばちゃんアルバイトに声をかけました。

「ご馳走様でした。
 すごく美味しかった。また来ますから、
 タマネギお願いします!」

Aさんは、自分の想像が当たったので嬉しくなりました。

「いいわよ、いつでもいらっしゃい。
 でもハンバーガーばかり食べてちゃだめよ」

「えっ、お店の方がそんなこと言っていいんですかぁ(笑)」

「あらそうね。今の、店長には内緒よっ!(笑)」

帰っていく彼女の後ろ姿、来た時よりもずっとずっと
元気に見えました。

やっぱりひと言多いのは、いいおばちゃんの特徴だよね。
でもAさんも、ほのぼのした気持で店を後にしました。

参考:プチ紳士・プチ淑女を探せ!運動
   「いい話第63話より」

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