2,3歳くらいの子どもには、母親の胎内にいたころの記憶がある。
そんなドキュメンタリーをテレビで見たことがある。
そこでわたしは、3歳になる息子の翔に聞いてみた。
「ねぇ翔、お母さんのお腹にいたときのこと覚えてる?」
すると、翔は驚いたことに「覚えてるよ」と言ったのだ。
「どんな感じだった?」
「暗くて怖かった。苦しかった。みんなの『出ておいでー』って声が聞こえた」
それはまぎれもなく翔が生まれるときの記憶に違いなかった。
翔はひどい難産だったのだ。
「遠くの方に光ってるのが見えたの」
「うんうん、それで?」
「光ってる方から声が聞こえたから、そっちに行きたかったけど、
苦しくて、翔クンね、行けなかったの。
そしたら、●●●●●が助けてくれたの」
「●●●●●?」
誰かがわたしの胎内で苦しんでいた翔を助けてくれたのだ。
その名を聞いて、わたしは愕然となり、涙があふれて止まらなくなった。
翔を助けてくれた人・・・>>>
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「光ってる方から声が聞こえたから、
そっちに行きたかったけど、苦しくて、翔クンね、行けなかったの。
そしたら、お姉ちゃんが助けてくれたの」
「お姉ちゃん?」
「ウン、翔クンのお姉ちゃんだって言ってたよ」
「・・・そのお姉ちゃんが助けてくれたの?」
「ウン、『一緒に行こう』って翔クンが言ったら『アタシは行けない』って。
『アタシの代わりにママのところに行ってあげて』って」
わたしは翔を身ごもる2年前にも一度妊娠したことがあった。
だけどそのときは流産してしまった。
悲しくて苦しくて、自分を責めたりもした。
今でも夜寝る前には、その子のことを思い出して涙したりもする。
あんなにも自分以外の人を愛しいと思ったのは、生まれて初めてだった。
可愛くて可愛くて、大好きだったのに、この腕に抱くことが叶わなかったあの子。
翔の話を聞いて、とめどなく頬を伝う涙。
「ママ、どうしたの?どっか痛い?」
「ううん。痛くないよ。大丈夫」
痛いんじゃなくて、うれしいんだよ。ありがとうね、翔。
不思議そうにわたしの頬に触れる翔を、わたしはそっと抱きしめる。
やさしいあの子がこの世に送り出してくれた、この二人分の大切な命を。
参考本:人間っていいな! 涙がこぼれるいい話
「感動物語」編集部編(コスモトゥーワン)