そこに乗り込んだのがクロネコヤマトの宅急便、小倉昌男さんです。
荷物といえば、誰もが郵便局へというときですから、
ライバルは限りなく強い。
では、クロネコヤマトの宅急便は
無敵の郵便局の牙城にどう切り込んでいったのか。
状況をひっくり返して革命を起こす場合、
一番重要になるのは、
意表をつくひと言だと思います。
長々語っても誰も聞いてくれません。
たったひと言で「お!」と思ってもらえるかどうか、
そこが勝負です。
クロネコヤマトが掲げたひと言は・・・
「今日預かった荷物は、明日届けます」
今でこそ、今日頼んだ荷物が明日届くのは常識ですが、
それは絶対に無理という時代に、このひと言を掲げたのです。
それからの7年、小倉さんは、売上げのことは一切言及しなかったそうです。
そのかわり、小倉昌男さんが徹底したのは
「ちゃんと届いたのか?」
というチェック。
今日の荷物を明日届けるためには、
先方が留守であってもいけないわけです。
配達時間を午後6時から9時まで延長し、
システム全部に手を入れました。
「今日預かった荷物は明日届けます」
このひと言を実現するために、すべてをかけたのです。
当然、残業代と人件費はふくれあがりました。
「そんなことをしていると会社が赤字になります」
と忠告してくる社員もあらわれたそうです。
それに対する小倉さんの言葉はこうでした>>>
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「そんな計算をしている人間が、
一番ムダなんだよ」
状況をひっくり返したいときは、
何が何でも、これをやる。
一点突破です。
ちなみに、おそらく読者様のコメントの中には、
会社を思うがゆえに、赤字を心配して進言した社員への
同情はあることでしょう。
でも本気の「経営者」の火の玉のように燃え上がる熱意には、
一般常識とは別次元のエネルギーがみなぎっているのです。
真剣に赤字を心配する社員の目と、
真剣に世の中を変えようとする経営者の目には、
どうしても違う景色が見えるものです。
この会社のために、今、何が一番重要なのか。
そこを見極める一点集中の執念。
それこそが、世の中を変える風穴だったのだと思います。
そこからまた社会環境が変わり、現在は従業員の労務管理や、
価格設定の見直しなど、考慮すべき事柄が出てきました。
しかし、事業が世の中を変えようとするスタート時期、
火の玉のような、また革命児のような小倉さんの信念がなければ、
今日のクロネコは存在すらしていなかった、そんなお話しです。
参考本:論理的に考えないほうがうまくいく
中島孝志(講談社)