無愛想だけど、なぜか人気者の運転手さん

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は小さなタクシー会社の運転手さんです。

気が短かく、接客態度もあまりよくありません。

それなのに、病院に通うお年寄りからは、圧倒的な人気があるのです。

お年寄りを乗せて病院の玄関前に着くと、
気短かな彼は、お年寄りが降りるのを待っていられません。

彼がお年寄りから絶大な人気を得ているワケは何なのでしょうか?

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は、お年寄りが降りたあと、車から離れるのを見届けることができません。

だから、車から降りようとするお年寄りに、
「俺の背中につかまれ」と、
やおらおんぶして、そのまますたこら待合室まで運んでしまうのです。

「年寄りが降りるのを待っていたら、
 商売にならないからやっているだけだ」

彼はそっけなくそう言います。

要は商売の効率を上げるためにやっていることで、親切ではないというわけです。

でも、お年寄りや障害者の方の目には、これが「親切」と映ります。

車に乗るとき、彼をリクエストするお年寄りがすごく多いそうです。

本当は優しくて、親切なんでしょうね。

でなければ、お年寄りが、わざわざぶっきらぼうな運転手さんを
指名するはずはありません。

お年寄りは特に、気を使わせることに自分の心を痛めます

ことさらに「商売の効率化」を主張する運転手さん、

…たぶん自分の思いやりで、
お年寄りによけいな気を使わせたくないのでしょう。

参考本:涙が出るほどいい話 河出文庫 「小さな親切」運動本部編

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