背中を押してくれた談志師匠の一冊の本

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「1988年、52歳の立川談志はギラギラしていた。
 正直ちょっと怖かったけれど、24歳の僕はそれ以上にギラギラしていた」

語家 立川生志さんの話しです。

立川生志さんは、大学時代に落語研究会で落語ざんまいの日々を過ごしました。

しかし、卒業後は大手メーカーに就職したものの、
ずっと落語家への未練を断ち切れずにいたそうです。

やがて2年の歳月をかけて意を決した生志さん。
大手会社のサラリーマンの道を降りて、立川談志師匠の門をたたきました。

「何としても弟子にしてもらうんだ」という覚悟でここまで来たのだから、
ギラギラした談志にびびってはいられなかった。

生志さんはそう語ります。

自宅の応接間で会ってくれた談志師匠、
そんな生志さんにこう言いました。

おまえのような若者の持つパッションを
 俺には止めることはできない

そんなことで談志師匠は入門を認めてくれました。

ほっとすると同時に、
「パッションなんて言葉を立川談志が使うんだ…」
と思ったそうです。

そうして立川生志さんの落語家人生が始まりました。

サラリーマン時代の2年間は、あえて落語のことを考えないように、
落語関連のテレビ放送、書籍や音源も意識して遠ざけていたそうです。

しかし、生志さんを居ても立ってもいられない気持にさせたのには、
あるきっかけがありました。

この出会いもまた運命的なものだったのでしょう>>>

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のきっかけをくれたのが「あなたも落語家になれる(三一書房)」
という一冊の本でした。

「会社員の生活が嫌だったわけではないが、
 落語への思いと落語家への憧れで、悶々としていたときに、
 書店でこの本に出会ってしまった」

これまで自分の気持をごまかし、避けて通って来た「落語」への道。

それなのに「あなたも落語家になれる」なんて直球を投げられたら、
もう我慢なんてできなくなったのです。

すぐに手に取って読んでみた生志さん、
著者である立川談志の落語への愛があふれていて、
すっかりその本に魅せられてしまいました。

その世界へ行くことに躊躇している若者の背中を押すには
十分過ぎるほど、落語の魅力が語られていたのです。

 
立川談志師匠がこの世を去って4年が過ぎました。

生志さんが久しぶりに、その本を読み返してみたら、
あのギラギラした談志がよみがえったそうです。

まさに談志師匠のパッションが詰まった一冊だと改めて気がついたといいます。

この本と出会って生志さんは、まさにタイトルどおり落語家になれました。

そして、談志師匠から真打ち昇進の許しを得たとき、
胸が熱くなるような、こんな言葉をもらったそうです。

「人生を語ってこいよ。俺がついてらあ」

 
今、55歳の立川生志さんは、己の思う人生を落語のなかで語っているのです。

※佐賀新聞 2016年1月10日「はじまりの一冊」という記事を参考にしています。

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