松下幸之助氏、ある日の講演会でブーイング

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しゃ降りの時に屋根の修理はできない」
という格言があります。

状態が悪い最中に、いろいろ対策を打っても遅い、
状態のいい時に、きちんと備えなさい、
という意味の言葉です。

経営の神様、松下幸之助の「ダム式経営」という考え方があります。

ある講演会で、幸之助は「ダム式経営」の話をしました。

会社の中の「人材」や「お金」などの資源は、
景気が良い時に、水を貯えるダムのようにしっかり蓄えておき、
悪い時のために備えておきましょう。

質疑応答の時、ひとりの経営者が質問をしました。

「松下さん、ダム式経営は分かるけど、わたしら中小の経営者が
その日その日の商売に追われながら、
どうやって、ヒトやカネを集め、さらに貯めこめますのや?
わたしらは、それを知りたいんや?」

幸之助は、答えました。

「そんな方法は私も知りませんのや」

聴衆一同、ずっこけ気味でした。

その後に続く言葉です。

「知りませんけど・・・」

それに続く言葉には、多くの聴衆から少々ブーイングが上がりました。

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之助の「知りませんけど・・・」に続く言葉です。

「まず、そうありたいと思うことですな」

この言葉が発せられた時、
その講演会場にいた聴衆の多くはこんな反応でした。

「なんや、そんなことなんか。
わしらいつも、アレコレ思い疲れてますがな」
「そんなんやったら、誰でも知ってますがな」
「経営の神様が、そんなことを…。
わしら、儲かる秘訣を教えてほしいんや」

ほぼブーイング状態でした。

そんな中、この言葉を聞いて、
身体中に電撃が走ったと述べる人物がいます。

その人物とは、創業間もない京セラの、
若き経営者、稲盛和夫さんでした。

この稲盛さんは、再建の神様、カリスマ経営者として、
誰もが知る人となり、昨年8月に逝去されました。

稲盛さんは
「まず、そうありたいと思うことですな」
という一言に込められた万感の思いのようなものに、
大きく心を打たれたということです。

「まず、思わなかったら、そうはならない。
しかし、そうは思うが、現実には難しい」
そんな気持ちがどこかにあると、絶対に高い目標や夢は成就しない。
そのことを、そのとき深く感じたそうです。

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