【坂の上の雲】司馬遼太郎の書きたかったこと

末、そして明治維新、
開花期を迎えようとする日本は、
誠に小さな国でしかなかった。

産業といえば農業しかなく、
人材といえば、300年もの間
読書階級であった旧士族しかなかった。

初めて「国家」というものを持った日本人、
その眼前には、これから登りつめようとする坂があり、
空にはぽっかり雲が浮かんでいた。

日本人はその坂を登った、登った。

百数十年後、登った坂からは、
日本人の目にどんな景色が見えているのだろう。

明治維新後の、雲を眺めていた少年たちは、
今、天上からこの国をどう見ているのだろうか。

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