息子と私たち夫婦に血のつながりはありません。
生まれてすぐ施設に預けられたこの子を
私たちで引き取り育てました。
しかし、そのことを言うことができずに今日まで過ごしてきました。
私たちが産みの親ではないと知った時、
息子はどんな思いをするだろうか。
どんな目で私たちを見るようになるだろうか。
それが怖くて今日まで言うことができませんでした。
散々話し合った末、息子の二十歳の誕生日である今日、
この日に全てを伝えようと二人で決めたのです。
夕方、仕事から帰ってきた息子に、
息つく暇も与えないほどの勢いで、全てを話しました。
私の話が一区切りつくと、次には妻が矢継ぎ早やに話を足します。
私と妻の話が落ち着くまでに、
かなりの時間が経過していたはずです。
私たちには、その時、時間の観念がありませんでした。
息子は話を聞き終えるとゆっくり顔を上げ、
本当にほっとした表情で、私たちに話しかけました>>>
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私たちの話をじっくり聞いた息子はこう言ったのです。
「離婚の話じゃなかったのか?」
予想外の言葉にあっけに取られてしまいました。
そうじゃないよ、離婚話じゃないよと言うと、
息子は笑いながら、言いました。
「よかった~。ここ何ヶ月か二人とも暗い顔してたし、
今朝なんか二人して真剣な顔で『今日は早く帰れ』
なんて言うから、てっきり離婚するのかと思って
心配で一日仕事にならなかったよ」
そうして、息子は私たちにきちんと目を合わせ、
「俺は父さんと母さんの子供で本当によかったと思ってる。
今日まで育ててくれて、本当にありがとう」
そう言うとニッコリ笑いながら缶ビールを開け、こちらに傾けました。
二十歳になり、晴れて息子と飲んだ初めてのビール。
それは塩気がきいていて、
でもどんな高価な酒よりも美味く、
私はこの先、これほどの酒に出会うことはないと思います。