関東に大雪が降った翌日、私と彼は、防寒対策をしっかりして、
ディズニーシーに向かいました。
今日は彼と付きあって、2年目を迎える記念日。
大事な日だからこそ、
彼と初めてデートしたディズニーシーで
迎えようと約束していたからです。
「キレ~~ッ。そしてカワイイ!」
ゲートをくぐるなり、大きな声で叫んでしまいました。
そこには、一面の銀世界……ではありませんでしたが、
ディズニーシーならではの雪の世界が広がっていました。
通路はしっかり雪かきされているのですが、
周りの花壇には雪が残っていて、太陽の光に当たってキラキラ。
通路のあちこちには、キャストさんが朝からつくったのか、
大小の雪だるまが並んでいます。
寒いことも忘れて、私と彼は、散歩に繰り出すことにしました。
雪のディズニーシーは、いつもより人が少ないせいか、
何だか厳かな感じがします。
私と彼は、特に話すでもなく、ただ、ゆっくり足を進めていきました。
園内を一周し、アメリカンウォーターフロントに到着。
私たちのようなカップルが数組と、カストーディアルの方が、
静かに掃除をされているだけ。
※カストーディアルとは、園内の清掃に携わるキャストのことです。
とってもいい雰囲気で、まさに大人のデートスポットです。
「新婚旅行は、S.S.コロンビア号みたいな船で世界一周がいいね~」
何の気なしに彼に話しかけたのですが、返事がありません。
聞こえなかったのかと思い、もう一度、
「こんな豪華船で世界一周できたらいいよね~」
と言ってみたのですが、またもや無言。
「どうしたのだろう」と彼を見ると、
めったに見ることのない真顔で、こちらを見つめています。
変なことでも言ったのかしら?不安になって、
「どうしたの?」
尋ねながら近づくと、突然彼は・・・>>>
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突然彼は、何かを差し出しました。そして、
「結婚してください」
と言ったのです。
えっ?
驚きました。
だって結婚を考えているようなそぶりを見せたことなど、
まったくなかったからです。
驚いて何も言えない私に、彼は言いました。
「結婚しよう。これからもずっと一緒にいよう」
ポロッ。
涙がこぼれました。
彼とずっと一緒にいたい。
そう、ずっと思っていたからです。
大きく息を吸って、深呼吸をし、
「はい。よろしくお願いします」
そう口にしたとたんポロポロと涙があふれ、
止められなくなってしまいました。
あわてて彼がカバンからティッシュを出して、渡してくれます。
こんな時にティッシュなんて……と、
苦笑しながらありがたく涙を拭いていると、
「記念に写真を撮ろうよ」と彼。
私の返事も待たずに、ポケットからスマホを取り出し、
自撮りをしようとします。
すると、
「よろしければお撮りしましょうか」と、
カストーディアルのお姉さんが声をかけてくれました。
ありがたい申し出に、撮影してもらおうとカメラを渡したとき、
彼女が心配そうに「どうかされましたか?」と尋ねました。
私の目が赤いことに気づいたのでしょう。
照れくさかったのですが、正直に、
「実は、彼にプロポーズされて、結婚することになったんです。
その記念に、写真を撮ろうって……」
とお伝えすると、
「ええっ!それはおめでとうございます!
よろしければ、私にもお祝いさせていただけませんか?」
カストーディアルさんはそう言って、
持っていたトイプ(ホウキ)で何やら地面に描き始めました。
「はい。できました」
そこには、大きなハートとメッセージが…。
白い雪の上にできた文字でした。
『けっこん、おめでとう』
「すごい!ありがとうございます」
「ステキ!うれしいです」
せっかく止まった涙が、またあふれ出してくるのが分かりました。
彼の目も、少しだけ赤くなっています。
とてもとても寒い日だったのに、
とてもとても心温かな時間を過ごすことができました。
カストーディアルさん、素敵なプレゼントをありがとう。