壇蜜さんには、ツアーコンダクターの父親と保育士の母親がいます。
お母さんは、おばあさんから、厳しい世の中に向けて、
女も「手に職」を持つよう教えられました。
それで、仕事をしながらも勉強し「保育士」の資格を得ています。
壇蜜さんもまた、いろんな資格を保有しています。
大学では教員免許を取得し、教師を目指しました。
しかし、自分が教師になるには、どうしてもぬぐえない違和感が生じてきました。
次に目指したのは調理師です。
専門の調理師学校で調理師免許を取得しました。
その後、知人の死に遭遇し、ここでも思うところがあって、
エンバーミングに強い関心を抱くようになりました。
エンバーミングとは、葬儀のための遺体を消毒し、
きれいに保存したりする仕事です。
そのために遺体衛生保全士という資格まで取得し、
実際に葬儀社で働く経験もしています。
その後、ふとしたことでグラビアアイドルの道に踏み込み、
今日のタレント活動に至っています。
「手に職を」という意味では、壇蜜さんは、
祖母、母親の教えを踏襲しています。
しかし、お母さんにしてみれば、遺体に関係する仕事や、
不特定多数の前で肌を露出する仕事に対しては、
強い拒絶感を持ちました。
当然ながら大反対です。
しばらくは、母娘の交流も閉ざされました。
お父さんはと言えば、・・・。
お父さんは、実はグラビアでの活動などは、
全く知らされていませんでした。
ある日のことです。
お父さんは、歯医者にいました。
待合室で、雑誌を眺めていました。
その中のグラビアに、娘によく似た女性がいるなと気づきました。
よくよく見たら、プロフィールの本名が娘と同じ名前です。
お父さん、びっくり仰天でした。
ここでわが身を重ね合わせて、考えてみて下さい。
どうでしょう?
大きなショックとともに、怒りや戸惑いや狼狽など、
多くの悪い感情が湧き上がってくるに違いありません。
わたくしなんぞは、とても生きた心地がしないと思います。
ところが、このお父さんは違いました。
壇蜜さんにメールを送ります。
その短いメールの文面には、
男としてグッと来るものがあります>>>
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お父さんが壇蜜さんに送ったメールの文面はこうでした。
「薄着になり過ぎて、風邪をひかないようにね」
この短い文面には、お父さんから壇蜜さんへの
多くの思いが込められているかのようです。
「薄着になり過ぎて」には、”お父さんは判ってるよ”との思いが、
「風邪をひかないようにね」には、尽きない優しさが、
全体を通しては、”覚悟しておやりなさい。だけど無理はいけないよ”
という父親としての深い愛情が、伝わってきます。
一方、当初、大いに拒絶的だったお母さん、
今日では、壇蜜さんのお仕事についてこう述べています。
「あの子が、ここまでさらけ出して、自分の仕事に向き合っているのだから、
母親が思いやってあげないとね…。家族が嫌ってたらいけないですよね」
そう言いながら、壇蜜さんのある持ち物を
箪笥の引き出しに大切にしまっています。
それは、葬儀社で働いていたころの壇蜜さんの白衣と、
体を張って活躍する壇蜜さんの新聞、雑誌の切り抜きです。
どちらも、当初、お母さんにとっては、見るのも嫌で、
自分から遠ざけていたものでした。
お母さんも、壇蜜さんにしっかり向き合おう
との覚悟をした証しの「しまい物」です。
こんなお父さん、お母さんに見守られている娘さんは、
まず間違いなく、メチャクチャなことはしません。
これからも、その時その時で、曲がり角に立つ時も、
きっと、いつも真摯な意思を示す壇蜜さんであることでしょう。