この方は、50年も前に亡くなった方ですが、
慶應大学の塾長や今上天皇の指導役も務めた先生です。
この方は、戦時中、前途ある学生が戦場に駆り立てられていく現状に、
深く心を痛めていました。
スポーツ大好きの先生は、学徒出陣に赴く生徒に
せめて最後の餞(はなむけ)を残したい。
そうだ、戦争で弾圧されている「早慶戦」を復活し、
生徒たちを喜ばせ、慰めてあげたい。
いろんな逆風に晒されましたが、
小泉先生は、最後の早慶戦の実行に成功することができました。
その時の出来事は「ラストゲーム、最後の早慶戦」という映画にもなっています。
その小泉先生、ご自身の一人息子も戦場にとられ、
そして出征後、まもなく彼の戦死の知らせを受けることになります。
小泉先生は、息子を戦場に送り出す時に、一通の手紙をしたためています。
24歳の息子に宛てた深い愛情が紙背から伝わってきます>>>
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小泉信三先生の、出征する一人息子へ宛てた手紙です。
君の出征に臨んで言っておく。
われわれ両親は、完全に君に満足し、
君をわが子とすることを何よりの誇りとしている。僕はもし生まれかわって妻を選べといわれたら、
幾度でも君のお母様を選ぶ。同様に、もしわが子を選ぶということができるものなら、
われわれ二人は必ず君を選ぶ。人の子として両親にこう言わせるより以上の孝行はない。
君はなお父母に孝養を尽くしたいと思っているかもしれないが、
われわれ夫婦は、今日までの24年間の間に、
およそ人の親として享(う)け得るかぎりの幸福を既に享けた。親に対し、妹に対し、なお仕残したことがあると思ってはならぬ。
今日とくにこのことを君に言っておく ――
小泉先生のご子息が、手紙を手に胸震わせている様子までが、
この文面の向こう側から伝わってきます。