僕は、両親の事情により、ずっと独りぼっちで、
親戚など、いろいろな所を転々として生きてきました。
施設に一時的に入所していた時期もありました。
小さい頃には「施設の子」とか「いつも同じ服を着た乞食」とか、
いろんなことを言われてきました。
たまに同級生の子と遊んでいて
「○○君の家に行こう!」とかなっても、
僕が遊びに行くと、ドア越しにその家のお母さんの声が聞こえてきます。
「○○君と遊んではいけないって言ったでしょ!」
声を殺しつつ、子供を叱ってる声です。
僕を汚い物でも見るかのような目で
「うちの××クンは今日遊べないの・・」
と言われるようなのは、たびたび起きることでした。
僕は弱い人間なので、そんなことが重なるうちに、
独りでいることが一番傷つかず、一番楽なのだと思いました。
けれど、僕にも言いたいことは一杯あったのです。
汚い服、同じ服を着ていても、僕は人の物盗ったり、傷つけたりはしてない。
両親はいないけど、僕にはどうすることもできないんだよ!
僕だっておとうさん、おかあさんが欲しいんだよ。
そんなことから、僕はなるべく人と接しないように生きてきました。
自分の精神、心を守るためにそうせざるを得なかったと言えます。
独りで生きていく、誰にも迷惑をかけずに・・・
それが、小さな僕の結論だったのです。
高校に進学した時でした。
朝、登校すると僕の机に、
彫刻刀のようなもので刻まれた文字がありました。
「死ね」「乞食」「貧乏神」「親無し」
など、あらゆる悪口が書かれていました。
僕は目の前が暗くなりました。
僕が何かしたのか?僕が何か!
子供の頃からやられていることとはいえ、
こんなことに慣れることはできません。
僕は、ただ立ちつくすのみでした。
その時、僕の目の前から机が無くなりました。
クラスでも体の大きいYが僕の机を抱え上げていたのです。
僕はじっと目をつぶりました>>>
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僕は机で殴られるのかと思い、
時よ過ぎよとばかりに、目を閉じたのです。
そうしたら、意外なことが起きたのです。
「いくぞ!」
とYがぶっきらぼうに言いました。
そして机を抱えたまま、僕の先に立ち廊下に出て行きました。
僕は、彼の後に従うのみでした。
彼の入っていく部屋は木工を扱う技術室。
Yは技術室の一角に陣取り、
紙やすりで僕の机の落書きを消し始めたのです。
Yはただ一言だけ
「こんなことするのは、心を失くした奴らだ。
つまんないことに負けんなよ」と言いました。
あとは、黙々と紙やすりで落書きを消していきます。
僕は、生まれて初めての出来事に茫然とし、
そこにぼんやりと立ったままでした。
ほんとなら、落書きを一緒に消す作業に加わるべきところ、
何にもできず、いや、身体が動かなかったのです。
「放課後もう一回ここでニスを塗ろうぜ。そしたら元どおりだ」
と言い、にっこり笑ったYを見て、僕は大粒の涙をこぼしました。
Yはそれを見ないふりして、照れ笑いをしていました。