2019年、4月30日に退位礼正殿の儀をお迎えになった上皇様でした。
いつも穏やかな笑顔と温かい言葉で、
私たち国民に接してくださった上皇・上皇后様。
そんな心優しい天皇・皇后両陛下時代の「傘」についてのエピソードを
ご案内したいと思います。
平成22年に神奈川県で行われた全国植樹祭のときのことです。
この日は雨でした。
しかし、この雨の日をきっかけに、
両陛下はある特徴的な行動をされるようになりました。
両陛下は雨の中、植樹をされることになったのですが、
この時、県の関係者がビニールの透明傘を
急きょ両陛下に差し出しました。
それまでは、規定の方式にのっとり、
黒い傘をご利用されるのが常でしたが、
この日以来、透明傘をご利用されることが多くなったようです。
たとえば、
平成25年7月4~5日、両陛下は、復興状況の視察とお見舞いに
岩手県の被災地を訪れになりました。
5日は、朝から大船渡市の工場を視察されましたが、
あいにくの雨。
両陛下は、従業員全員が屋外に整列して見守る中、
工場入口で御料車を降りられました。
その際、宮内庁職員が、いつもお使いの
黒い大きな雨傘を差し出しましたが、お受け取りにならず、
当時の美智子皇后さまが小声で何か指示を出されました。
すると職員は急いで車から、
透明のビニール傘を取り出しました。
両陛下はそれをさして、
出迎えた従業員に手を振られたのです。
この時、美智子皇后さまはなぜ透明のビニール傘を指示されたのか。
それには、温かいご配慮があったからです>>>
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美智子皇后さまのご配慮とは、
雨の中待っていた人たちにお二人の、
「お顔がよく見えるように」というご意志だったのです。
この後、両陛下は1,500人を超える死者が出た隣接する陸前高田市へ。
ここでも土砂降りの中、
100人以上の被災者が両陛下を一目見ようと、
1時間近く待っています。
両陛下は、ここでビニール傘をさされました。
お二人は相合い傘で、手を振って被災者にこたえ、
腕を組んで庁舎の中に入られました。
両陛下が使われているビニール傘は、
一般的なビニール傘とは全くの別物です。
「縁結」という8,400円もする品物。
骨はグラスファイバー製。
ビニールは3枚重ね。
骨には小さな穴が開いており、
突風が通り抜けて傘への負担を軽くしています。
陛下が使用する傘が折れてしまっては不吉とのことで
「逆支弁」仕様になっています。
両陛下の国民を想うお優しい気持ちは、
道具一つ一つにも行き渡っているのだと思います。
御年80歳を越えた今でも、
私欲を滅し、他者のために行動されるその姿は
国民のよきお手本となっています。
両陛下がご無理をなされず、
これからもお元気でいらっしゃるよう、お祈り申し上げます。