そのサングラスはクラスが一つのシンボルだね

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2015年、9月のことです。

沖縄県宮古島市のマティダ市民劇場で行われた県立宮古高校の合唱祭。

あるクラスの35人全員がサングラス姿で登壇し、
尾崎豊さんの「15の夜」を熱唱しました。

全員がサングラス姿だったので、
一瞬会場にどよめきがあがりました。

見た目だけでなく、尾崎さんをまねてセリフを語る
指揮の男子生徒のパフォーマンスもあって、
会場は大いに盛り上がりました。

しかし、彼らはファッションのために
サングラスをかけたわけではなかったのです。

クラス内の、ある一人の女子生徒を思っての全体行動だったのです。

 

その女子生徒は、
中学2年生だった2011年に子宮頸がんワクチンを接種。

その副反応とみられる症状で光に敏感になり、
サングラスが手放せない生活になりました。

次第に頭痛や虚脱感といった異変があらわれ始め、
高校に入ってからは手足のしびれなどで倒れ、
保健室に運ばれることが増えました。

体調不良や入院もあって、なかなか学校へ通えなくなり、
登校できても保健室で過ごすことが多くなりました。

 
さて、彼女の通う宮古高校では毎年、
体育祭、文化祭、合唱祭のどれかひとつを順番で開催しています。

この年は合唱祭の年でした。

当初、女子生徒は欠席するつもりでしたが、
クラスメートに誘われて練習から参加しました。

放課後の練習を終えた後、
「サングラスで本番出るのは嫌だな」とこぼすと、
隣にいた別の生徒が
「じゃあ、みんながサングラスで出たらいいんじゃない」
と声をかけました。

すると周りの生徒たちも
「いいね、曲の雰囲気に合ってるし」と応じました。

でも、・・・と女子生徒はためらいました>>>

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子生徒はこんなふうに考えたのです。

「きっとサングラスつけたくない人もいるはず。
 それに、持ってない人は買わなきゃいけない。
 私のために無理しないで」

その思いをみんなに告げると、仲間たちはこう返してくれました。

「大丈夫だよ。合唱祭終わったら絶対に『やってよかった』ってなるから」

これを受け、担任の女性教諭は学内で事情説明に回りました。

「私がしたことはこれだけ。
 女子生徒を練習に誘ったのも、
 サングラスをつけようと動いたのも、ぜんぶ生徒たち。
 リーダーがいるわけでもなく、
 おとなしいと思っていた生徒たちですが、
 しっかり成長していました」

その後、クラスの仲間は、両親や祖父母から借りるなどして、
当日は全員がサングラスを持参。

登壇すると一瞬どよめいたものの、
曲が終わると会場は大きな拍手に包まれました。

 
本来、保護者は観覧できませんが、
女子生徒の母親は特別に許可をもらって様子を見ていました。

体はつらそうでしたが、笑顔を絶やさない我が子。

終わった後、クラスメートと握手しながら、こう声をかけられていました。

「ありがとう、おかげで一つになれた。最高のクラスになったね」

その言葉を聞いた女子生徒は
「この一言で、大変だったことが全部チャラになった」と思ったそうです。

また彼女は、
「みんなと歌って超楽しかった。
 楽しい思い出がつくれて良かった」
と振り返っています。

<母親のコメント>

 
日々いろんな症状があり、つらい思いしている中でも
「私のためにゴメンね」と経済的な心配をしたり、
島外での治療のために「きょうだいに寂しい思いをさせている」
と家族の心配をしたり、そんな娘です。

今は高校の先生方や友達の理解・支えがあり、
休みがちではありますが、何とか頑張って登校しています。

体力的には辛いと思います。
娘以上に副反応に苦しんでいる子は、たくさんいます。
早急に治療法が確立されることと、国からの救済を願っています。

そして、この記事を読んで、
原因が分からずに苦しんでいる子が副反応のことに気づき、
前に進むことが出来るならうれしいです。

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