父さんが守ってくれている

b907
は小学生の時父親を亡くし、
母一人子一人で育ったんだけど…。

中学生の時、授業中に突然先生から
「おい〇〇!!お母さんが職場で倒れたそうだ。
 すぐに××病院に行け!!」
と告げられ、自転車で慌てて向かった。

病院まではかなりの距離があり、
途中には長い上り坂があった。

漕いでも漕いでも坂は続いていて、
なかなか上り切らない…。

気ばかり焦っているが、一向に前に進まない。

変なふうに力が入り、そのためにバランスが崩れて、
自転車ともども転倒しそうになった。

その時のことだ。

フッとペダルが軽くなった。

まるで誰かに押されたかのように…。

無我夢中だったので、
その不思議さを確認しなかったが、
僕の感覚は感じ取っていた>>>

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は振り返って確かめようとしたけど出来なかった…。

なぜならその時、亡くなった父親の匂いがしたから…。

なんとも懐かしい匂いになぜだか涙があふれてきた…。

息を切らして何とか坂を上り切った時、
僕は泣きながら「ありがとう」と呟いた…。

病院では母親が意識を失っていたけど何とか一命は取り止めた。

後日、意識を取り戻した母親から聞かされた。

意識を失ってる間、ずっと父親の夢をみていたと…。

僕は心の中で改めて父親に礼を言った。

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