中学生の弟が鏡の前で、
一人で笑ってるのを見掛け、吹き出しかけた。
普通に言うと色気づいてきたというやつ?
服や髪に気を使い出し、彼女が出来たかと喜んでいた時期だった。
だから、服や髪の次には笑顔を作る練習でも始めたのか?と思った。
9つ離れてるから弟が生まれる前から知っていて、
あの赤ん坊が大きくなったもんだなとちょっとした感慨も湧いてきた。
そんな弟の様子は、兄貴ヅラして見なかったことにしてやった。
その後も、弟の鏡を見る姿を幾度か見掛けた。
どれだけ経ってか、弟と喋るうちにやっとその理由が分かった。
色気づいての行動じゃなかったんだ>>>
スポンサーリンク
↓Facebookの続きは、こちらからどうぞ↓
前に法事で親戚が集まったときに、みんな口を揃えて
「○○(弟)は笑ったらお父さんにそっくり!」って言ってた。
俺から見ても、確かによく似てる。
父が死んだのは弟がまだ幼いときで、
弟は父の顔を憶えていない。
父は写真を撮られるのが苦手だったから、
笑顔の写真が一枚もない。
弟は普段、誰かが父の話をしても、
大して興味なさげにしてるだけだった。
だから、記憶に残ってなきゃ
父に対する思いもこんなもんかと寂しく感じたこともあった。
でも、そんなわけないんだよな。
弟は、ああやって父に会ってたのかと思うと、
なぜか弟に申し訳なく、切なくなる。
あの時、からかわなくて良かった。