イギリスに住む27歳のリチャードさんは、
アルポート症候群という腎臓病を患っていて、
腎臓移植を受ける必要がありました。
しかし、アルポート症候群は遺伝性の病気であるため、
肉親から臓器提供を受けることは不可能である上に、
他人の腎臓が完全に適合する確率は、
100万分の1と医師から宣告されます。
病気が進行すれば腎不全を発症し、
人工透析が必要になってしまいますが、
リチャードさんにはどうすることも出来ませんでした。
病状が悪化し始めたころ、
彼はビッキーさんという女性にひと目ぼれをします。
またビッキーさんも彼にひと目ぼれ。
あっという間に二人は恋に落ちました。
ただ、その段階ではビッキーさんは
彼の病気のことを知りません。
彼は隠しておくわけにはいかないと、
交際1カ月も経たない頃に、
別れることになっても仕方ないと断ったうえで、
自分の病気のことを話しました。
ところがビッキーさんは別れを選ぶどころか、
私の腎臓の片方をあげると即答します。
ただ、いくら愛し合っている二人とはいえ、
臓器の完全適合確率は
100万分の1であることに変わりはありません。
医師たちは期待するなと協調したうえで、
適合検査を行うことにしました。
検査の結果が出るまでには1年を要します。
しかし、その間に二人は結婚。
リチャードさんの病気はどうなるかわからない、
そんな状態での結論でした>>>
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人生を共に歩んでいくことを決めた二人でしたが、
その強い決意とは裏腹にリチャードさんの病状は悪化。
いよいよ人口透析が必要な段階まで、
病状は進行していきました。
翌年の夏、ついに検査が終わりました。
その結果は、臓器移植の適合性は完璧というもの。
二人の出会いは100万分の1の奇跡だったのです。
もちろん、その後に受けた摘出・移植手術も大成功。
二人は同じ病室で術後を過ごし、
ベッドをぴったりとくっつけて手を握り合っていたそうです。
参考本:「寝る前に読んでください」アルファポリス文庫 佐藤光浩著