小泉純一郎が息子たちに告げた「ママは実の母ではない」

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優・小泉孝太郎(39才)と衆議院議員・小泉進次郎(36才)の伯母、
そして元首相・小泉純一郎(76才)の姉である小泉道子さん(享年84)
のお別れ会が、2016年8月28日、神奈川県横須賀市でしめやかに営まれました。

※( )内は、当時の年齢表示です。

道子さんは、幼くして実の母と離れ離れになった
孝太郎氏と進次郎氏にとっては、「育ての親」でもあります。

父・純一郎は2人の息子に道子さんのことを
「ママ」と呼ばせていました。

お別れ会のときの純一郎氏の弔辞は、
この家族を知る人たちばかりでなく、この話によって、
初めて事実を知る人たちにも大きく胸を打つものがありました。

以下は、純一郎氏の弔辞の内容です。

本日は皆さま、お忙しいにもかかわらず、ありがとうございます。

亡くなる前日の午後、私が病院に見舞った際に、
『身体のどこか痛いか』と聞きました。

『痛くないか』と言ったら、首を横に振って、
目を閉じたまま『ああ、ああ』と何か言いたそうでした。

その日の夜、進次郎が見舞いました。

その際、進次郎が『進次郎だよ』と言ったら、
ぱっと目を開けて、ぐっと首を下げました。

その翌朝、病院の院長先生、看護師の方、
そして同じ部屋に寝泊まりしておりました
純子(道子さんの娘さん)に見守られ、
穏やかに、永遠の眠りにつきました。

故人は、生前本当に多くの方に慕われました。

弟の私が言うのも何ですが、
故人は本当によくできた人だと思っております。
優しく、謙虚で、しかもしっかりと我々、
留守がちの小泉家を守り続けてくれました。

私が妻と離婚したとき、孝太郎は4歳、進次郎は1歳でした。

その時、家族、道子をはじめ家族が協力して、
孝太郎、進次郎に寂しい思いをさせてはいけないと思って、
できるだけみんなで協力しようと。

なかでも、母親代わりとして中心的な役割を果たしてくれたのが、
故人でありました。

孝太郎、進次郎は、2人に加え、
弟の子どもなど6人兄弟の中で孝太郎、進次郎は育ってきたと思います。

幼児のときは常に、夜は一緒に添い寝してくれて、
学校に見送り、帰る。
帰ったら、必ず『ママ』がいる。

母親代わりに育った孝太郎、進次郎には
『ママ』と呼ばせておりました。

外に出ても、帰ってくれば、ママはうちにいて
優しく、温かく、明るく迎えてくれる。

これは、孝太郎、進次郎の精神安定に
大きく寄与していたと思っております。

いつか本当のことを孝太郎、進次郎に
言わなければいけないと思っておりましたが、
なかなか言いそびれておりました。

孝太郎が高校2年生、進次郎が中学2年生になって、
2人を呼んで本当のことを伝えました>>>

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マは私の姉なんだ』と言ったら、
進次郎は『うそ!』と言いました。

『いや本当だ。孝太郎、知っているか』と聞くと、
『知っていた』
『進次郎に言わなかったのか』
『言わなかった』

ああ、そうか。高校2年生だけど、
言ったほうがいいこと、言わないほうがいいこと、わかっていたんだ。
いい子に育ってくれたなと思いました。

ここまで話すと純一郎氏は涙をこらえ切れず、
慟哭して言葉に詰まりました。

5秒、10秒経ち…。「スピーチの名手」と称された純一郎氏の感情が、
堰を切ったように溢れ出しました。

すぐ側に座る孝太郎氏は手のひらをぐっと握り締め、
ブルブルと上半身を揺らしています。
頬をつたう涙が止まりません。

進次郎氏はただ沈痛な面持ちで空の一点を見つめています。

『進次郎、ママは母親じゃないんだよ』と言うと、
『ボクにとっては本当の母親だよ』とはっきり言いました。

道子は母親代わりじゃない。
実の母親として、孝太郎、進次郎を育ててくれたんだなと。
改めて感謝しています。

晩年になって、もう手をかけなくていい。
放っておいても大丈夫だと思っているようでしたけれど、
故人にとっては孝太郎、進次郎が
健やかに成長しているのが何よりの生きがいだったと思います。

我々は留守しがちですが、その中でいつも、帰ってくれば道子がいる。
我々の帰りを待って、毎日家におりました。

晩年は孝太郎、進次郎が社会に出て、
テレビや新聞で活躍しているのを、大変楽しみにしていたようです。

休みのときに出掛けるときは、いつも一緒。
孝太郎、進次郎は6人の中で元気に育ってくれた。

その中心的支えをしてくれたのが、故人、道子でありました。

もちろん近所の方々、お茶をたしなんでいる方々、そして、
小泉家に携わる多くの皆さまの温かいご支援があったからこそ、
最後まで、死ぬ直前まで、意識がはっきりと、
安らかに永遠の眠りについた。

大変代えがたいことだと思っております。

今日もこうして皆さんにお越しいただき、ありがとうございます。

泉下で故人も手を合わせて感謝していると思います。

皆さまのご温情に厚く御礼申して、喪主のあいさつに代えます、皆さま、本当にありがとうございました。

以上、純一郎氏の弔辞全文でした。

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