仕事は残業が続き、病気の家族の世話もあり、
多忙な日々を送っていたある日のことでした。
会社の帰り道、
電車の座席の一番端に座り、
「明日も頑張らなくては。
でも疲れたな」
と思いながら、少しうつむき、
目を閉じていました。
そうすると突然、誰かに手をギュッと握られたのです。
驚いて飛び起きるとそこには…
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驚いて飛び起きると、
いつの間にか私の座席の横に乳母車が止まっていて、
その中から生後半年ほどと思われる小さな赤ちゃんが、
身を乗り出して私の手を握っていたのです。
じっとこちらを見上げてニコニコ笑っているその瞳は、
白目がとても真っ白で、
その美しさに思わず心が洗われました。
たくさんの人間関係の中で、
相手の目をしっかり見なくてはいけない、
しかしこの人は本当に本音で話してくれているのか、
などといろいろ考えるようになっていた自分がいました。
けれど、幼い頃はこの赤ちゃんのように、
真っ直ぐな綺麗な目で相手を見ていたはずだ、
と気づかされました。