子供から見ても波瀾万丈の人生で、職を転々とし、
最後の2年間は大好きな仕事をしたい、
ということでタクシーの運ちゃんをやってました。
おふくろによれば、
「あんなに生き生きと働いているのは今まで見たことがなかった」
とのことでした。
きっとタクシー運転手を
天職だと思っていたのでしょう。
入院して1ヶ月ほどたったゴールデンウィーク、
僕は彼女を連れて見舞いに行きました。
その彼女を親に会わせるのは初めてだったけど、
まだオヤジが元気だったし、
それに今度いつ会わせられるか分からないので、
半ば押しかけるように連れて行ったのでした。
そして、見舞いのあと、
彼女に地元の観光名所を案内しようという話になったときです。
僕があまりそういう場所を知らないので、
本でも買って見ながら行くわ、というと、
オヤジは、やおら起き上りました。
起き上がって、父がした行為に僕は目を丸くしたのです>>>
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心配する母親をよそに、父は、チラシの裏に鉛筆で地図を描き始めたのです。
さすがは、タクシー運転手だ。
まるで自分の家の間取りを描くかのように、
観光名所の場所を鮮明に描いていきました。
交差点の名前、目印となる建物、一番効率よく見て回る順番、
オヤジなりにつけた「面白度」、
……★印4つとか5つとかまで記してあります。
すごい!
どんなガイドブックよりも分かりやすい。
生まれて初めて、オヤジを心底尊敬しました。
その地図を頼りに彼女を案内しながら、この土地、
そしてこのオヤジのもとに生まれてよかった、と心底思いました。
そして、
「早くよくなって、またタクシーに乗るんだ」
というオヤジの強い思いを感じました。
僕たちが帰った直後から、オヤジの容態は悪化し、
2カ月苦しんだ末、8月に亡くなりました。
辛い人生だったろうな、と思います。
でもなオヤジ、僕はあんたの子供でほんとに良かったと思ってるよ。
そして最後に、あんな些細なことだけど、
あんたを尊敬できて良かった。ほんとに良かった。
オヤジの描いた地図、今でもカバンのポケットに入ってるけど、
見ると泣きそうなので出せません。
来年には、あの時の彼女の苗字をあんたと同じにして、
墓参りに行きますよ。
そして、またあの地図を見ながら、観光名所巡りしますよ。