知っていたことで悲劇を避けることが出来た

b195
急救命士のSさんからのお話です。

60代半ばの男性Aさんが、最愛の孫二人にせがまれて、
近くの公園に散歩に出かけました。

Aさんは、公園で知人とばったり会い、
しばらく立ち話になりました。

その間、二人の孫は公園の中の小さな池付近で遊んでいました。

Aさんが知人との話に没頭しているうち、
視野に入っているはずの孫が視界から消えていました。

Aさんは、ハッと立ち上がり、池の方を見ました。

三歳になる孫がうつぶせになって、池に浮かんでいました。

一瞬の出来事でした。

すぐに知人に119番を頼み、
Aさんは孫を池から引き上げました。

すでにびっしょり濡れた体に生気は無く、
何度も名前を呼びながら、冷たい顔をさすりますが
返事はありません。

目は宙を見、呼吸も脈も止まっています。

「孫の死」が今、自分の目の前にあります。

Aさんは、反射的に何のためらいもなく、
人工呼吸と心臓マッサージを始めました。

数ヵ月前にAさんは講習会で、Sさんの指導により、
心肺蘇生法を習っていたのです。

Aさんの人工呼吸と心臓マッサージは、
救急隊が到着するまで続けられました。

救急隊が現場に着いた時、小さな心臓はしっかりと脈打ち、
弱いながらも自分で呼吸をしていました。

Aさんの心肺蘇生法で、三歳の孫の命は救われたのでした。

入院後も「溺水、低酸素脳症、誤嚥性肺炎」など
幾多のハードルがありましたが、
孫は、2週間後、元気いっぱい、何の後遺症もなく
自らの足で退院できました。

半年後、ある会合で、SさんはAさんと顔を合わせました。

Aさんは、自分の名前を言ったきり、
Sさんの手を握り、頭を下げたまま、
肩を小刻みに震わせました>>>

スポンサーリンク

↓Facebookの続きは、こちらからどうぞ↓

さんの目から大粒の涙がこぼれ落ちます。

そしてこう言いました。

「あの時、孫はもうだめだと思いました。
でも、講習会のことを思い出したら勇気が出て、
あとは無我夢中で蘇生法をやりました。
もし助からなかったら、私も死のうと思いました。
65年生きてきて、こんなに辛かったこと、
生きることのありがたさを感じたことはありません」

Aさんの涙は止まりませんでしたが、
その表情は笑顔に変わっていました。

心臓や呼吸が停止するような緊急事態は
いつどこで発生するのか誰にも分かりません。

だからこそ、一人でも多くの市民に心肺蘇生法を習得し、
現場で実施してもらい、「死の淵」から多くの人を救いたい。

そんな一念で私たち救急隊員は救命講習会を行っているのです。

Sさんはそう述べています。

※とっさの時のために、心肺蘇生法・AEDの手順を動画でご覧ください。
ほんの微差で救える命があるかもしれません。
(動画とSさんとは関係ありません)

スポンサーリンク