全く可愛げなく、私の呼び方すら名前呼び捨ての男の子でした。
その子が、本人なりによく頑張って、国立の大学に受かりました。
法事で親戚が集まった時、ある親戚筋のおばさんが言いました。
この方は、常々から鼻つまみ者で、
あんまりお付き合いしたくないタイプのおばさんでした。
「私たちのところで引き取ってたら
もっといいところに行けたかもね」
そのおばさんは、この男の子を引き取るときの親族会議で
「私は絶対に嫌」って言ってたのです。
しかもそれを本人の前で口走る無神経さ。
一番経済的な余裕があるのにこれだ!
そんな変な親戚に反発するような義侠心もあって、
つい私が勢いで言ったのです。
「じゃー俺が育てます」と。
まだ就職して間もない
ヒヨコの私の無謀な申し出でした。
それでも、何とかかんとか、
七転八倒しながらも、彼を大学に入学させるまでに
こぎつけることが出来たのでした。
そのおばさんの言葉、
「私たちのところで引き取っていたら・・・」
を耳にし、私は怒りとイライラ感を覚えつつも、
反面、そのおばさんの言葉を全否定できない気もしました。
「ああそうなのかもな。
私がもっといい会社に就職したり、出世が早かったら、
こいつにもっといい環境を与えてやれただろうし、
塾だって通わせてあげれたのにな」
「よく考えれば私があの時、彼を引き取るなんて
言わなければ、他のもっと金持ってる誰かが
彼を引き取っただろうし、ひょっとしたら、
私の方が、彼に悪いことをしたのかもしれない」
そんな思いを巡らせていたところでした。
その子が思いがけないことを発言しました>>>
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「今の自分があるのは○○(私の名前)さんのおかげだし、
俺がこんなとこに受かれたのも○○さんのおかげです。
他のどなたよりも、俺は○○さんに育ててもらい感謝してます」
みんなの前でそう言ったのです。
件のおばさんは沈黙です。
男の子は、普段私の名前に「さん」なんかつけたこともありません。
常に偉そうに呼び捨てなのです。
その子が、ふすま一枚隔てた隣の部屋で、
こんなことを発言するなんて。
嬉しかったです。
今まで生きてきた中で一番嬉しかった、
と言っていいほどの嬉しさでした。
帰りの車で、私はすごい浮かれてました。
その子に「ありがと」って言ったら、
彼は、私がそのとき隣りの部屋にいたのを知らなかったらしく、
怪訝な表情をしました。
そして、しばらくしてからマフラーに顔を埋めてそっぽを向きました。
どうやら照れてる様子。
私が、彼を引き取ってからこの瞬間まで、
彼のことを可愛いって思ったことはなかったように思います。
最悪の時には、クソ生意気で補導はされるわ、女の子は連れ込むわ、
私の大っ嫌いな煙草をわざわざ私の寝室で吸うわ、
もうほんっとにどーしよーもない悪ガキだったのです。
それが大学に入学できるわ、いっぱしの発言をするわ。
実際に子供がいたら感じる可愛さとは、
こういうことなのかなって思いました。