又吉直樹さんの「火花」、芥川賞受賞!やりましたね

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笑いタレントの又吉直樹さんが、自らの体験をベースにした小説「火花」で、
芥川賞を受賞しました。

これまでタレントさんなど、芸能人の出版は珍しくなかったのですが、
まさか純文学の芥川賞をかちとる人はこれまでいませんでした。

大変な才能だと思います。まずは”おめでとう”を言いたいと思います。

もともと又吉さんは、本大好き、本の虫の人だったんですね。

本好き又吉さんの、本にまつわるエピソードをご紹介します。

達人は達人を知るというように、
本好きは、やはり本好きの心を知るようです。

又吉さんは、ある一冊の本と出会いました。

「本屋に行ったら装丁がめちゃめちゃ渋い、
 かっこいい本を見つけたんですよ」
と述べています。

たかが装丁というかもしれませんが、
本好きにとっての装丁は結構重きをなすものです。

最初は作品から入っていき、作者が好きになり、
装丁が好きになり、売ってる本屋さんが好きになり、
そして、それらを含んだ本そのもの、
本全部がたまらなく好きになっていく、
・・・そんな感じでしょうか。

その本の作者は、関口良雄さんという方。

東京の大森で「山王書房」という古本屋をやっていた方です。

そこには、三島由紀夫など有名な作家がよく通っていたそうです。

タイトルは『昔日の客』、残念ながら作者の関口さんは、
もうお亡くなりになっています。

中身の文章は平易ですが、本好きの又吉さんのハートに刺さる
「何か」があったのです。

この本の作者関口さんは、ただならぬ本好きに違いないと
にらみをつけました。
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さらに、絶版になった、この名もない本を復刻した
出版社のセンスにも着目したのです。

人の才能も本も、掘り起こす者によって日の目を見る、ということが多々あります。

この本を見出した出版社は、夏葉社(なつはしゃ)という会社でした。

この本を「選び」そして好きな者には、
暗号のように伝わる「装丁」というメッセージ。

「選ぶ」ことと「装丁」この二つだけでも、
出版社の志がよく分かるものです。

これは、夏葉社(なつはしゃ)という出版社も、
ただ者じゃないな、と又吉さんは感じとりました。

あるラジオ番組で、又吉さんは、その本のことを話しました。

「エッセイなんですけど、何よりむちゃくちゃ
 本が好きなのが伝わってくる文章なんですよ。
 古本、本、作家を愛してるっていうか。
 凄い読みやすいですし。最後”あとがき”まで読んだら、
 泣いてまうような。本に対する愛情が凄いんですよ」

そんなことを語りました。

また夏葉社についても
「絶対本好きな人が作った本ですよね。
 装丁が非常に美しくてね。
 背表紙の古書店が版画になってます」
と紹介しています。

その放送から2週間ほど経ったある日のことでした。

又吉さんは、2,3回行ったことのある
下北沢の古本屋にいました。

そこでまた、「又吉さんにとって」カッコいい、
特長ある装丁の本に出会ったのです。

上林暁という小説家の短編集「星を撒いた街」という本でした。

出版社を見たら、それがまた「夏葉社」だったのです。

レジにその本を持って行った又吉さんに、
店長さんからの驚く言葉が返ってきました>>>

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長さんは、「又吉さんですよね?」
と確認しました。

次の言葉に驚かされました。

夏葉社の者から、この本は又吉さんが来たら、
 お代はいらないって言われてるんで

「ええ~~っ!」と驚く又吉さん。

後日、夏葉社の島田潤一郎さんはこう言っています。

「たまたまお世話になってる下北沢の古書店で、
 たまたま又吉さんの話になって、
 僕は又吉さんに感謝の気持ちを表したかったから、
 お店に来るようなことがあったら”僕からです”
 ってことで本を渡してくれないかって」

島田さんは、ラジオ放送での又吉さんの話を
聞いてのことでしょうが、それにしても不思議なことがあります。

島田さん、その話は、下北沢のその古書店一店だけにしか
してなかった話だそうです。

たまたま2,3回しか行ったことのない又吉さん。
その店だけにしかしてない夏葉社さんのお話。

この偶然にも驚かされます。

ちなみに、この夏葉社さんについて、
又吉さんが「どんな会社なんですか?」と聞いたところ、
「吉祥寺で一人でやってる出版社」だとのことでした。

すごく頷ける話でもあります。

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