その道化師が演技を始めると、
どんな仏頂面の人も笑顔になりました。
道化師の演技を一目見ようと近隣諸国からも来るほどでした。
ある日、国王が近隣諸国の来賓へのレセプションのために、
その道化師と小屋の仲間を呼びました。
レセプションの当日、道化師の息子は大病を患い寝込んでいました。
年をとってから出来た子供で、夫婦は息子をとても可愛がっていました。
「今日のレセプション、断ろうか?」
と道化師の夫婦が話していると、息子がベッドの中から言いました。
「パパの道化師、大好きだよ。
だって、皆がパパを見て笑顔になるんだもん。
僕は大丈夫だから、皆を笑顔にしてきて!」
道化師は、後ろ髪を引かれる思いでレセプション会場へ向かいました。
仲間が口々に言います。
「こんな日くらい、休めばいいものを、そんなに名声が大事なのか!」
道化師は演技を始め、観客をわかせました。
使いの者が道化師に耳打ちしました。
「息子さんが先ほど息を引き取りました。帰ってあげて下さい」
しかし道化師は演技を止めません、観客をわかせ続けます。
「子供より名声を取りやがった!」
小屋の仲間はそう言いました。
それでも道化師は、演技を続け、観客をわかせ続けました。
ふと、客席がざわつき始めました>>>
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「道化師が泣いてる・・・」
「皆を笑顔にしてきて!」
道化師は、息子との最後の約束を果たすためにステージに立ち、
演技を続けていたのですが、何かが目に留まってしまったのです。
「何か」とは観客の中の少年の姿でした。
その男の子の姿が、自分の息子とがダブって見えてしまい、
道化師は泣いてしまったのです。
顔は笑っているのですが、涙が止まりません。
道化師は、この時のことを恥じて、二度とステージに立ちませんでした。
その後、その道化師を讃え、メイクに一筋の涙を描くようになったのです。
道化師の笑顔の下には、実は深い悲しみが隠されているのでした。