私が21年の人生の中で、
一番泣いた話と二番目に泣いた話です。
私の通っていた小学校は校区が広く、
住んでいる地区によって、
中学校区が異なるところでした。
私と親友M子も小学校は同じでしたが、
卒業後は、別々の中学に進学することになっていました。
私の進学予定の中学は、卒業旅行先が東京ディズニーランドでした。
TDLに行ったことがなく、
ミニーが大好きだったM子は、当時からそれを羨ましがっていました。
あまりM子が、それを羨ましがるので、
じゃあ私が卒業旅行に行ったら、
M子の大好きなミニーを買ってきてあげるよ、
と約束しました。
中学に進学してからも、私とM子との友情は続き、
1、2か月に一度は必ず会って遊んでいました。
けれど、中二の冬に突然M子は帰らぬ人になったのです。
インフルエンザの菌(?)が招く病気だったそうです。
お葬式では、久しぶりに会う、
懐かしい友達がたくさんいました。
その中でM子にさよならを言いました。
お葬式に出るのが初めてだった私は、
M子のお葬式だというのに、
死人の顔を見るのが怖くてたまらず、
通夜の時も、葬儀の時も、M子の顔を直視できませんでした。
女友達5人でギュッと手をつないで、
やっと勇気を出して顔を見て、さよならを言いました。
泣きながら、母に手を引かれて帰った帰り道、
泣きじゃくる私をなだめるために、
母が買ってくれたポカリの味、忘れられません。
これが人生で一番泣いた日です。
中学三年生になり、私は卒業旅行先であるTDLに行きました。
クラスメイトの女子は、皆違う小学校の子で、
私の出身した小学校の子は、男子が3人、女子は私1人だけでした。
TDLは、とても楽しいところで、
私はすっかりはしゃいで楽しい時を過ごしました。
そして私は、ミニーのぬいぐるみを買うつもりでした。
亡くなったM子との約束を果たさないと、
という使命感ほどのものでもなく、
ただM子におみやげを買おうくらいの、軽い気持でした。
お土産はかさばるので、最後に買おうと、
女の子同士で決めていました。
集合時間を決めて、皆バラバラとお土産を買いに行きました。
そして私もお土産を買いに行きました。
でも夜のTDLは不思議なところですね。
暗闇の中を横切るパレードやシンデレラ城を見ながら、
あんなに人がたくさんいるのに、
まるで自分が世界中に一人のような気持になりました。
そんな不思議な感覚にとらわれながら、
友達数人とお土産を選びました。
そして、ぬいぐるみ売場で、ミニーを選びました。
その時です。
なぜかその瞬間、目の前が涙でいっぱいになりました>>>
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フラッシュバックのように、約束したときの、
小学生だったM子の顔が甦ったのです。
いきなり様子の変わった私を見て、
事情を知らない友達が、心配しオロオロしています。
店内の好奇の目から守るように、私を慰めてくれました。
けれど、その友達の中にM子を知る人はいません。
M子が亡くなったことも知りません。
私は色々なミニーがいる中、選ぶ気力もなく、
一番スタンダードなミニーの赤い水玉の
ぬいぐるみを買いました。
私の泣いた理由を特に友達は、深く聞きませんでした。
何ごともなかったかのように、普通に接してくれました。
人がいっぱいで疲れたんだよね。
と特に仲良かった二人の友達が、外のベンチに私を座らせて、
買ったばかりのおみやげのクッキーまで開けてくれました。
他の女子グループまで、顔をのぞきこみ、
泣いた私の心配をしてくれて、
申し訳ないやら、気恥ずかしいやらで、
頭はぼーっとしていました。
そしてその後、顔を真っ赤にした私は、
バスの中で担任の先生に体の不調を気遣われ、
夜は担任の先生と養護学級の先生のところで
寝ることになりました。
部屋で寝ようとしていた私に、夜、担任の先生から、
ディズニーの大きな袋を手渡されました。
何だろうと思い、中を見ると、
お菓子の缶やらシールやら、ぬいぐるみやら、
いろんなものが入っていたのです。
担任の先生の話では、様子のおかしい私
(一番前の担任先生の横の座席で寝てた)は、
バスの中でクラスの噂になったらしいのです。
私が泣きだしたのは、
ミニーを好きだったM子のことを思い出したからだろう、
そんな風に察してくれたようです。
M子のことを皆に伝えたのは、同じ小学校だった男子のS君とN君。
彼らはお葬式には来ていなかったはずで、
M子とも特別親しいわけじゃありませんでした。
でも、ちゃんと覚えていてくれたんですね。
それで、M子を知っているS君とN君が自分のお土産の中から、
ミニーの入ってるものを探し、
担任の先生に、私へ渡してほしいと頼んだそうです。
同じ小学校とはいえ、普段交流のないS君とN君が、
私にお土産を渡すなんて、変に思ったんでしょうね。
担任の先生は、なんで?と二人に聞いたそうです。
その後、ホテルでS君とN君から事情を聞いた
クラスの子たちが協力しあい、自分のお土産の中から、
ミニーのグッズやミニーの入っているものを、
少しずつ出して、集めてくれたんだそうです。
ありがたくて、嬉しくて、また号泣しました。
人生で二番目に泣いた時でした。
その後、ミニーのシールやら個包装のクッキーや、
やたらでっかいバルーンやら、いろんなものを
大きな袋に入れて、
別の中学校に進学した友達と3人で、
M子の家にお土産として持って行きました。
あまりに多いお土産を、
不審に思ったM子のお母さんに、
この話をすると、おばさんはぽろぽろ泣いて、
後日、うちのクラスにジュースの差し入れをしてくれました。
あの日、見ず知らずのM子のために、
たくさんのミニーをくれた
優しい中三のクラスメイト、
ミニーが大好きだったM子。
今でもミニーを見ると思い出します。
TDLの夜の光のパレードと一緒に。
参考:2ch「掲示板」より