神様からゆだねられた宝物…それはこの子

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これは20年ほど前の高知市に住む主婦の方の手記です。
文中に出てくる養護学校の様子も、20年前の高知市での出来事です。

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の娘は現在、小学4年生です。

冗談を言って笑わせてくれたり、怒られて泣いたりする彼女ですが、
走り回ったりすることは出来ません。

なぜなら彼女は、手足が普通の子のように動かせない、
重度の障がい児なのです。

小学校に入る年齢になった頃には、
彼女にどんな学校が向いているのか悩みました。

考えた末、ある養護学校の体育祭に足を運んでみることにしました。

初めて見る養護学校の運動会。

そこでは小学部から高等部までの児童生徒が、
それぞれの障がいに応じて頑張る姿がありました。

私は、そこで繰り広げられる世界に、
目を瞠り、たたずんでしまいました>>>

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のように動けない子を、ボードに乗せて先生が引っ張り、
顔を上げさせる。

何分もかけて寝返りをうったり、
あるいは這って懸命にゴールを目指す子供たち。

車椅子で風のように走り抜ける子と、
デッドヒートを演じる松葉づえの高校生・・・。

流れる汗。

目標を達成した笑顔。

そこには私の経験してきた一番、二番を競う運動会とは、
まったく別の世界がありました。

あまりにもひたむきな、ほとばしるような情熱を目のあたりにして、
私は完全に圧倒されてしまったのでした。

ぜひとも、この学校へ娘を入れたい!

やがて、娘は無事に念願の小学校の一年生になりました。

入学してみて驚いたのは、先生方の子供たちへの接し方です。

子供たちの目線はもちろん、まばたき一つにまで、
「あ、いま、返事をしたよ」
などと意思を読み取ろうとしてくださる細やかな愛情には、
本当に頭が下がりました。

まさに、教育の原点を見た思いでした。

こんな素敵な学校があるなんて、
娘がいなければ決して知ることはなかったでしょう。

「人間にとって、何が一番大切なことか」
ということを娘が生まれてから何度となく考えるようになりました。

しかし、それがあまりにも根源的な問題で、
私はつい忙しい日常の中で、見失いがちになってもいます。

娘が小学三年生のある日、何気なくこう言いました。

「ママ」

「何?」

「・・・生まれてきて、良かった

あまりに思いがけない言葉に、私は絶句してしまいました。

決して平坦ではなかったはずの彼女の人生を、
そんなひと言で言い切ってくれたこと。

そしてそれへの感謝で、胸がいっぱいになりました。

「ありがとう。ママの所へ生まれてきてくれて。
 本当にありがとう」

私は涙をこらえて、そう返すのが精一杯でした。

(なんて素晴らしい宝物を、私は神様からゆだねられたのだろう)

そして同時に、こう願わずにはいられませんでした。

どうかこの子が大人になってからも、
今と同じ言葉が言えますように、と・・・。

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