公衆トイレ内の落書きはいけません。…だけど

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学の頃の私は、そこそこ勉強が出来たために、
親に期待されていました。

だけど塾の勉強は、いまいち分からず、
親の希望の進学校には進めそうになかったのです。

98点をとっても、
「どうして2点間違えたの?」
と叱る親にはうんざりしてました。

途中から入塾したために、周りの子とも話せませんでした。

ある日の塾の帰り、駅前のトイレに入りました。

そこには「○○命」とか、卑猥な絵とか、
「上を見ろ」「左を見ろ」「右を見ろ」「キョロキョロするな」
などの下らない落書きがいくつかありました。

いけないこととはしながらも、
私は持っていたボールペンで、ドアの内側に書いてしまいました。

「死にたい」

次の日、そのトイレに行くと、自分の落書きの横に、
「↑どうしたの?死ぬなんて言っちゃだめだよ!」
と書き足されていました。

その善意すら気に障った私は、
「勉強ばっかり、もういやだ」と書き足しました。

その次の日のことでした。

そんなことを私は、予想も期待もしてなかったのです>>>

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の日、落書きはさらに増えていました。

同じ人の筆跡でした。

「勉強ばっかり、つらいよね。でも死んじゃダメ。
 これから楽しいことがたくさんあるんだよ。
 もったいないよ!
 苦しくなったら逃げてもいい、だけど、
 死んじゃダメ!!
 もう何も出来なくなっちゃうんだよ?」

それだけじゃなかったのです。

他の人の落書きもありました。

「私も死にたいって思ったことはあるよ。
 だけど生きててよかったことは、
 もっとたくさんあるんだから」

そしてもう一つ、

書くものがなかったのだろう、
何かで引っ掻いたような跡で、
「ガンバレ」と。

自然と涙がこぼれました。

「ごめんなさい、ありがとう。
 がんばります」
・・・そう書いてから気づきました。

最初にいくつかあった他の落書きは、
既にキレイに消されていました。

自分の落書きと、励ましてくれた人の落書き。

それだけが消されずに残っていたのです。

あのとき励ましてくれた人、
消さずに残してくれた清掃の人、
本当にありがとうございました。

私はあの時の人の優しさを、一生忘れません。

参考本:泣ける2ちゃんねるⅢ(コアマガジン発行)

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