うちのばあちゃんが、買い物での帰宅途中、
自転車に乗った高校生引ったくりに遭った。
後ろから、自転車に抜かれざまバッグを掴まれたらしい。
しかし、幸いなことに怪我も被害も無かった。
日頃から野良仕事を趣味とし、
年の割に体力を誇るうちのばあちゃんだ。
掴まれたバッグは、ばあちゃんの強靭な握力と腕力で、
がっちりホールドされていた。
そのために、自転車に乗ってた高校生のほうが、
反動で地面に叩きつけられ、右手首骨折とのことだった。
駆けつけた通行人に確保され、高校生は警察へ連行された。
警察には、高校生の両親が呼ばれた。
警察から連絡を受けた僕も、ばあちゃんを迎えに急行した。
警察の一室には、ばあちゃんが座っており、
近くの席には、高校生の両親も座っていた。
僕が到着するやいなや、高校生の母親が耳を疑う暴言を吐いた。
「息子の怪我をどうしてくれる。治療費払え」
「どうせ私らが取られた金でもらった年金だろ」
何というひどい言葉を吐くのか。
僕もカッと頭に血が上り、母親の前にずいと立とうとした。
そうしたら、ばあちゃんが僕をたしなめ、
こう言ったのだ>>>
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「怪我したんは可哀想だが、本当に可哀想なんは、
人の物を盗ったらいけんってことすら
親から教えてもらえんかったその子の人生や」
「今からでも遅くない、親子でがんばって
まともな人間にならんといけんよ」
と優しい口調で諭してた。
警察のおっちゃんが拍手してくれた。
高校生の父親は、泣きながら土下座した。
母親は、ばあちゃんの言葉が終わったとたん、
すぐに父親に殴られ、子供のように泣き声をはりあげた。
僕は、なんかばあちゃんを尊敬せずにはいられなかった。
2ch話【うちのばあちゃんの話】を下敷きにしています。