「皆見てるぞ」職人さん達が見せてくれた心づかい

b220
は建築現場の監督をやっている。

何年か前に精神的に落ち込んで、
暗いオーラをビシバシ放ちながら、
失敗ばかりしてた時期があった。

仕事のことで落ち込んでいるわけではなかった。

だけど、これ以上会社に迷惑をかけてはいけない、
この状態が長く続くなら辞めるしかないと思いながら仕事してた。

で、ある日、現場へ行ったら、そこにいた職人さんが、
「ちょっと時間ある?」
と聞いてきた。

あまり人と話をしたくない精神状態でもあったので、
「次へ行かなきゃならないんですけど」
と答えると、
「10分だけここに座ってコーヒー飲んで行け」
と言われた。

出されたコーヒーは、彼がいつも持ち歩いている水筒のもの。

彼の昼食用の飲み物だ。

自分の精神状態を察してくれたのだろうと思うと、
涙が出そうになったが、
コーヒーの湯気を顔に当てながらごまかした。

しかしこんな私に、彼は何の話があるのだろう、

怪訝な思いで、彼の言葉を待っていた>>>

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が黙ってコーヒーを飲んでいると、
彼は車へ戻り、何やら箱を持ってきて私に渡した。

「これ職人連中皆から」

なんだろう、と思いながら開けてみると、
ナイキのジョギングシューズが出てきた。

「そんな汚い靴で俺の現場に来るなって、皆言ってたぞ~」

足元を見ると、自分の靴はもうボロボロだった。

精神的にまいってると、自分ではこんなことに一切気づかない。

だけど、皆、見ててくれてたんだ。

コーヒー飲みながら、今度こそ泣いた。

その靴も、今ではもうボロボロになったけど、
まだ捨てることは出来ず、とっておいてある。

参考本:泣ける2ちゃんねるⅢ(コアマガジン)より

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