その時の母の笑顔がそのまま残っています

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の母はガンで亡くなったんですが、
亡くなるしばらく前に体の調子が一時的に良くなり、
外出を許されました。

母は銀座へ行きたいと言い、
買い物や食事を、ゆっくり休憩を挟んで楽しみ、
最後に日比谷公園へ行きました。

若い頃、父とよくデートしたとか、
野音でコンサート見たとか、
いっぱい思い出が詰まった懐かしいところです。

母はそこで写真を撮って欲しいと言いました。

花壇にきれいな花がいっぱい咲いていて、お天気が良くて。

でも、その前に立つ母は、
改めてみると本当に衰えていて、生気が無くて…。

明るい公園に楽しそうな人がいっぱいの中、
あまりの違いに、私は泣きそうになってしまいました。

そしたら、そこに通りかかった人が、
思いもかけない言葉を発してくれて、
・・・その場の空気が明らかに変わったのです>>>

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りかかったのは普通のサラリーマンのおじさんでした。

そのおじさんが、

「お!いい女だなあ」
と、カメラの前でポーズをとった母に言ってくれたんです。

痩せて、顔色も悪く、一目見て健康ではないと分かる母に…。

母は照れくさそうに、
「いやあねえ」と笑いました。

写真の中には、その時の母の笑顔が残っています。

おじさん、本当にありがとう。

あなたは何気なく言ってくれたのかもしれないけど、
私には本当に優しい、神様みたいに見えました。

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