息子にかわってありがとう!

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れは、もう10年以上前のことです。

その日の朝、入院していた15歳の息子が、
ハンバーガーを食べたいと言うので、
病院の近くの銀座の裏通りにある
ハンバーガーショップに行きました。

店に入って、息子に言われたものを注文すると、
若い女性の店員さんが、
「11時までは朝のメニューなので、ほかのものではいけませんか?」
と言いました。

私は、ちょっと困った顔になったのだと思います。

すると、それを察した彼女はこう言いました>>>

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ょっと待っていただければ、すぐお作りします」

彼女はそう言って、11時までまだ30分ほどあるのに、準備を始めました。

このようなチェーン店では、すべてマニュアル通りに
受け答えするものと思っていた私は、とてもびっくりしました。

作ってもらっている間に、
息子が入院していることを彼女に話しました。

注文したハンバーガーを受け取り、
店を出ようとする私に、店の奥から彼女が、

「おだいじに」
と声をかけてくれました。

私もびっくりしましたが、
店にいたほかのお客さんも振り返っていました。

すごく感激して病院に戻って、息子に袋を渡すと、

「お父さん、こんなものが入っているよ」

と袋の中から1枚のカードを取りだしました。

そこには、こんなひと言が書かれていました。

「早く元気になってくださいね」

悪性の腫瘍のため、それから半年後、息子は16歳で早世しました。

2年間の闘病生活のなかで、たくさんの人々から励まされましたが、
この出来事は今も思い出されてなりません。

参考本:涙が出るほどいい話 第4集 出版:河出文庫 「小さな親切」運動本部編

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