Kくんは3度目の発病でした。
急速に増えていく白血病細胞の数。
ドクターはKくんのご両親に、
「化学療法のみの延命治療ならもってあと3カ月、
残る治療法は骨髄移植ですが、成功率は10%ほどです」
と言いました。
何度もつらい治療をしてきたKくん。
このままゆっくり過ごすのがいいのか、
わずかな望みにかけた方がいいのか、
ご両親は迷ったそうです。
そんな両親から何かを感じたのかもしれません。
Kくんは言いました。
「どんなに痛くても死にたくない。
退院したらキャンプに行きたいんだ。がんばるよ」
Kくんの”生きたい”という生きる力を信じて、
ご両親は移植を決意しました。
今まで使用した抗がん剤は効果が出にくくなっているため、
かなり強い薬を使います。
Kくんの苦しみは、こんな文章では
とても伝え切れるものではありません。
薬を飲む、食事を摂ることも大変なことで、
吐き気、痛み、身の置き場のない苦しみだったようです。
見ているご両親も大変辛かったと思います。
でもKくんは、
「退院したらキャンプに行く約束だよ、
○○(Kくんの弟の名前)と魚釣るんだ」
と言いました。
どんなに辛くても、元気になることを夢見て
ご両親に退院してからの話をしていたそうです。
明るく振舞うことでKくんは、
両親の苦しみを和らげようと気づかっていたのかもしれません。
クリーンルームの中、ずっと願い続け、
がんばり続けたKくんでしたが、
移植前の処置に耐えられず、
ご両親に看取られ、Kくんは永い眠りにつきました。
「やっと痛いのなくなって休めるね、ごめんね。最期までがんばらせて」
とお母さんは、Kくんを抱きしめて泣きました。
最期まで弱音を吐かずにがんばったKくん。
その体重は、入院前の3分の2程度にまでなってしまっていました。
亡くなる少し前、Kくんはお母さんに言いました。
「夢を見たよ。みんなでキャンプしてるの。
みんながご飯食べているところに僕も行こうとしたところで、
目が覚めちゃった」
・・・健康な子なら何でもない、
でもKくんにとっては祈るような願いだったキャンプの風景が
夢にまで出てきたのでしょう。
それから1年ほどたった頃、
家族でKくんの行きたがっていたキャンプに行ったそうです。
Kくんの治療中、時間をとって
遊んであげられなかったKくんの弟のため。
そして、Kくんの供養の意味も込めて。
キャンプ場でバーベキューを用意し、さぁ食べようという時に、
弟の○○くんが遠くの方を指さして言ったのです。
「お兄ちゃん?」
とひと言・・・>>>
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「お兄ちゃんがバーベキューをしている
この場所に走ってきて、そこで消えちゃった」
と言うのです。
お母さんは、すぐ入院中に聞いたKくんの夢の話を思い出しました。
あの時、Kくんが話していた夢はきっとこのことだったんだ、と。
バーベキューは、もちろんKくんの分の
お皿やジュースも用意したそうです。
弟の○○くんの話では、
Kくんはニコニコ笑いながら走ってきたそうです。
それ以降、弟はKくんを見てはいないようですから、
Kくんは天国への道を迷ったんじゃない、
時間を超えてKくんは、あの夢を見たのだとお母さんは信じています。
一瞬でも、ほんの少しでも、
Kくんの願いが叶っていたのなら、
救われた気がすると。