つい語りたくなる人、田中角栄の細やかさ

040
こで、何度も田中角栄氏のエピソードを書いています。

どうしても今の政治家とこの人とを見比べると、
圧倒的な人間力の差があるように思えてならないからです。

過去の人を美化し、現在の人を矮小化するきらい無きにしもあらずですが、
いろんな条件を割り引いても「角さん」への好感を禁じえないのです。

特に自分より目下の人への気配りや、細やかな配慮のできるところなど、
果して、角さんの息のかかった政治家たちは学べているのでしょうか。

角さんの優しいお話ふたつです。

ひとつは、田中角栄、幹事長時代のこと。

都内のホテルで佐藤首相(当時)と会談をしました。

佐藤首相の秘書の女性が述懐したことです。

当時、その女性はある理由で経済的に苦しい状況にありました。

会談が終わり、田中幹事長がホテルを出る時、
その秘書の方は、玄関まで見送りに行きました。

車が出発する間際、田中幹事長の車の窓があき、彼女を手招きしました。

何だろうと思って近づいて行くと、
田中幹事長が「年は越せるかい」と声をかけてきたと言います。

「はい」と答えると
「何かあったら何時でも私のところに言ってきなさい」
と言われたそうです。

その女性は驚きました。

自分の事情を知ってることもさりながら、こっそりと声をかけてくれたこと、
その目が親身であったこと、そんなことに深く心を動かされたそうです。

もうひとつは、大蔵大臣の頃のお話です。

所得税法改正の審議が行われていました。

審議には「税率表」という議論のベースになる表が使われます。

ところがその表が、官僚のミスで誤った計算に基づくものでした。

正確無比の大蔵省では致命的なミスでした。

審議が始まっているから、訂正は不可能です。

官僚たちは青くなりました。

本来ならば、作成した役人、その上司はおろか、
下手をすると大臣の首まで飛びかねない状況でした。

この絶体絶命の事態もさすがの角さんは、
持ち前の気配りで切り抜けます>>>

スポンサーリンク

↓Facebookの続きは、こちらからどうぞ↓

041

スを察知したマスコミや、野党が手ぐすね引いて、
攻撃の準備をしていました。

責任者の官僚が、辞表を胸に忍ばせ、田中大臣のもとを訪れました。

角さんは、笑いながら、
そんなことで辞表など出すな。
 失敗は次のための肥やしにしろ

と一蹴しました。

後日の審議の場です。

田中大蔵大臣は、新しい「税率表」を持ち、堂々と言いました。

「先日提出の表には間違いがございます」

何食わぬ顔で、公表数字の訂正をしました。

野党もマスコミも沈黙したままです。

なぜか…。

角さん、水面下の根回しを行っていたのです。

不健全な寝技ではありません。

政敵には、個々に頭を下げて説明にまわったのです。

手ぐすね引いてる野党議員も、一対一での交渉において、
田中角栄に深々と頭を下げられたら、
その迫力(謝罪力)に気圧されたのでしょうか。

それとも、貸しを作った方が得策だと考えたのでしょうか。

形ばかりの攻撃で矛先を収めざるを得なかったそうです。

マスコミもほぼ同様だったようです。

かくして、部下である官僚からも
「心からついて行きたい」上司として、
信頼を得ていった角さんでした。

スポンサーリンク