小さな頃からずっと考えてきた。
昨年、母方の祖母が亡くなった。
遊びに行くといつも満面の笑みで迎えてくれた
婆ちゃんが眠っていた。
もう笑わない。
それがとても寂しかった。
こんな時、母になんて声をかければいいのだろう。
母は母を亡くしたのだ。
その悲しみは計り知れない。
そんなことを思いながら、時が過ぎた。
ある日、母に話しかけるとき、
何気なく婆ちゃんの真似をしてみたかった。
「ミーキーちゃん!」
これが婆ちゃんの母に対する
少しクセのある呼びかけ方だった。
私は婆ちゃんになりきって、
婆ちゃんが母に話しかけるように言った。
「ミーキーちゃん!」
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一瞬、母ははっとしたような驚きの表情をし、
その後、爆笑した。
大ウケだった婆ちゃんの真似だったが、
爆笑しすぎたのだろうか、
母の目じりは少し潤んでいた。
私は味をしめ、
それから機会があるたびに真似をした。
「ミーキーちゃん!」
すると母が、
「そんなに長い時間、一緒にいたわけじゃないのに、
覚えているものだねぇ」
と言った。
今度は、私の方がハッとさせられた。
その時、小さな頃からの、
あの謎が解けたように思ったのだ。
『人は死んだらどこへ行くのか……?』
人は人の記憶の中にいる。
私はこれからも婆ちゃんの真似をして、
母に婆ちゃんを会わせたいと思っている。