健闘したPKO派遣の自衛隊員へ、機長からのメッセージ

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は90年代半ば、ルワンダ内戦で難民が出ると、
外務省は、その救済に自衛隊の派遣を要請しました。

そこでは、難民キャンプにも武装ゲリラが出没し、
エイズも流行中だったのです。

危険この上ない状況で、内戦に責任のある西欧諸国も尻込みしていました。

そのような中、米国が友好国日本に派遣を求めてきたのです。

それには、安保理常任理事国入りという人参のエサが
鼻先にぶら下げられていたという裏話があります。

自衛隊は、小銃のほか、機関銃一丁と、
ほとんど丸腰状態で難民キャンプに派遣されました。

隊員たちは、そんな悪条件下でも、任期を無事務め上げたうえ、
武装ゲリラに襲われたNGOの日本人医師の救出もやってのけました。

自国民救出までは自衛隊の越権行為だと
指摘するメディアもいくつかありました。

まだPKO(国際連合平和維持活動)自体が、
日本で開始されたばかりで、自衛隊の海外活動に対し、
マスコミも神経質だったせいかもしれません。

任務終了後、帰国には民間機を利用すること、
その際は、制服の着用は仰々しいので控え、
各自私服で帰国するように、という命令が下り、
派遣された自衛隊員はそれに従います。

どういう理由なのかは不明ですが、
あまり目立ってほしくない
という政府の思惑でもあったのでしょうか。

大変な思いをしてきた派遣隊員に対して、
ねぎらいの意図も感じさせない、
むしろ冷たい処遇に見えます。

誰もましな着替えなど用意してきていません。

年の押し詰まった12月27日、
ロンドンから日航機に搭乗した時、
周囲の乗客は、ひどい身なりの集団に少々驚きました。

それが異郷の地で頑張りぬいた自衛隊員と知るのは、
飛行機が公海上に出てからのことでした。

機長のアナウンスで乗客はどよめきます>>>

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長のアナウンスです。

「このたびは任務を終え、帰国される自衛隊員の皆さま、
 お国のために誠にありがとうございました。
 国民になり代わり、機長より厚く御礼申し上げます。
 当機は一路日本に向かっております。
 皆さま、故国でよいお年を迎えられますよう」

異形の集団を包むように客席から拍手が沸き、
その輪がやがて機内一杯に広がって行きました。

機長は、乗客リストを見て、自衛隊員の帰国を知り、
「日本人として当然のことをしただけ」と語りました。

成田に着いたあと65人の隊員たちは、
コクピットの見える通路に整列し、
機長に向かって敬礼しました。

海外では、この機長のような行動は、
ごく当たり前に見られることではあります。

この日航機の機長は、おそらくこのような、
「自国を守るために戦う人々への敬意」を
普通に表す世界の基準に沿って表したものと思われます。

右とか左とか、狭い了見ではなく自分の権限で、
ささやかな、しかし自衛隊員たちにとっては、
大きな意味を持つ、機長の勇気あるアナウンスでした。

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