北海道の常呂町、何で有名な町かご存じですか?

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ほう、こんな形の町おこしってのもあるのか、と驚きました。

普通、町おこしといえば、地域の食べ物だったり、景観だったり、施設だったり、

時間やお金がたいそうかかるものです。

ところが、スポーツで地域の強みを特徴づけ、

活性化を図っているという町があります。

北海道北見市の常呂(ところ)町をご存じでしょうか?

町民あげて、カーリングにすごく熱心な町です。

小学校の体育の時間には、カーリングがあるし、

町民の10分の1がカーリング選手です。

町には専用のカーリングホールまであります。

なにせ、この町からオリンピック選手を12人も輩出しているからスジガネ入りです。

こんな風にこの町、常呂町にカーリングを根付けたのは、

行政とか、スポーツ団体とか、なにか強い指導を発揮する集団の力だと思っていました。

ところが、そうではなく、最初はたったひとりの一市民の思いつきだったのです。

こんな人が、こんな風に仕掛けたのです。

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この人は、この町の名物だし恩人だし、ゆるキャラ的です

小栗祐治さんという、86歳になる男性が常呂町にいます。

※この記事は、9年前 2015年に書いたものです。
小栗さんは、記事の2年後、2017年に88歳でお亡くなりになりました。
今では、この町で小栗さんの名前を知らない人はいません。

この方は、今でも現役で、常呂町の子供たちにカーリングの指導をしています。

とても年齢を感じさせない指導力だし、

何より、この小栗さんが魅力的なのは、冗談がうまくておちゃめなところです。

この小栗さん、35年前、51歳の時です。

十勝で開かれたカーリングの講習会に、興味半分で参加しました。

元世界チャンピオンのカナダ人講師の指導がおもしろく、

これは、初心者でもすぐ楽しめる、と小栗さんすぐにはまり込みました。

早速、常呂町に帰って、みんなにもこの面白さを伝えようと思いました。

そこから先が、小栗さんの並はずれたところです。

カーリングのための道具も場所も何もない。ひとりの理解者もいない。

そんなところから、この町を、オリンピック選手が

大量輩出されるまでに育てたんだから、この小栗さん只者じゃありません。

「ストーンは一つ10万円以上。そんなお金はなかった」と言います。

それで、初めは金属製のビア樽(だる)に水と砂を入れて凍らせ、

ストーン代わりにしました。

昼間はリンクづくり、夜は仲間集めに奔走したそうです。

仲間集めでも、小栗さんの集め方はとぼけてて、明るさを感じさせます。

「Aには、Bがやるって言ってるぞと誘う。『じゃあ、やるか』と返事があると、

Bの家に行って、Aがやるからお前もやれと。

そんな風にして仲間を増やしたもんだ」

小栗さん、茶目っ気たっぷりにその頃を振り返ります。

地道な活動を続け、それから8年後の1988年に、

国内初の屋内専用施設がオープンしました。

さて、86歳と高齢ではありますが、小栗さんの夢はまだまだ膨らみます。

数年前に骨折し、今、足元が不自由な小栗さんです。

しかし、このカーリングというスポーツ、

障がい者にとっても力を発揮できるはずだ。

まずは、足の不自由な自分がパラリンピックに出場して、

自らメダルを獲ろうと目論んでいるのです。

何んという魅力的なおじいちゃんでしょうか。

参考:2015年、2月19日放映、あさイチより
http://www1.nhk.or.jp/asaichi/2015/02/19/01.html

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