「おたくの近くの車道に、山から出てきたキツネがひかれているぞ」
知人がそこを通り見かけたので、連絡をくれたらしい。
電話を受けた父と私は、早速、飼い犬を連れて現場へと急いだ。
近所の子供たちも集まっていた。
「キツネがひかれてるっぺー」
とキツネを見て騒いでいる。
父は、すぐ道路からキツネを抱きかかえ連れてきた。
キツネは血だらけで目をつぶっている。
もう死んでいる…と私は思った。
飼い犬のハッピーが、キツネの方に近づこうとするので、
私も近づいてみた。
するとハッピーは、とっさにキツネの出血部分を必死になめだした。
私は、可哀想だがもう死んでしまっているし、
ハッピーに毒でも入ったら…と判断し、
ハッピーを引き離そうと引っ張った。
しかし、それをまったく気にせず、必死でキツネを助けようと
なめ続けるハッピーの姿に、私はこの時強く胸を打たれた。
同時に、同じ生き物同士の「絆」というモノを、
じかに感じ取った。
私は頑張ったハッピーのためにも、
無事天国へ行けるように強く願い、埋葬した。
この時のハッピーの姿をずっと忘れない。
先日、私と妹が買い物へ行く途中、
車道に猫がひかれて生々しい血を流している所を見かけた。
周りにいたおじさんやおばさん達が、
「このままにしておいたら、またひかれるわよ。
どうしましょう」と話していた。
私は、ここだ!と思い勇気をだした>>>
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私は思い切って言った。
「私たちがやります」
あの時のハッピーを思い出して、勇気をふり絞り、
猫の死体を妹と二人で協力して段ボールへ入れ、
車道の脇の方へ寄せた。
周りのおじさん、おばさん達は目を丸くして驚いていた。
私たちは悪い気はしなかった。
その後、市役所の人が無事引き取っていったらしい。
あの時のハッピーのおかげで出来たことだ。
ハッピーは、私に深い愛情と勇気をくれた。
それはかけがえのない宝物。
参考本:とっておきのワンシーン(弘久社)