遠足の帰り道で思いがけず・・・

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が生まれてすぐ両親は離婚し、
私は、母の実家で祖父母、母と暮らしていました。

母は私を育てるため、毎日毎日遅くまで残業していて、
朝しか顔を合わせない日もたくさんありました。

休みの日は、疲れて遅くまで寝ていて、
どこかへ連れて行ってもらった記憶も殆どありません。

父兄同伴の遠足や運動会も、
友達みんながお母さんと嬉しそうに、
手をつないでいるのを見て、やりきれない気持になりました。

私は手のかからない子供だったと思います。

自分の感情を抑えて、
「会社休んで参観日に来て」なんて、
無茶を言ったことなんかもありませんでした。

一人遊びも上手でした。

すべてに遠慮して、幼い頃からおとなに敬語を使う子供でした。

小学校3年の時でした。

遠足に行った後、作文を書くように言われました。

「五感」をテーマに書くように言われました。

先生は、視覚・聴覚・臭覚・味覚・触覚について説明してくれました。

私はその中で触覚というものをテーマに選びました。

遠足でこんなことがあったのです。

山道を歩き、学校までの道でのこと。

皆2列になって、手をつないで歩くわけですが、
私は列の一番後ろを歩いていました。

生徒の数が奇数だったため、
私は一人で歩いていました。

一人でいるのが上手だから、
こんな時の巡りあわせも、やっぱり一人。

そんなことをぼんやり思いながら、ぽつねんと歩いてました。

その時、ふいに私の肩をたたく人がありました>>>

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生が来て、私の肩をたたき、微笑んでくれました。

そして、私と手をつないで歩いてくれたのです。

いつも先生が手をつなぐのは、もっと手のかかる子ばかりで、
私はいつも心の中で、羨ましいと思ってました。

なんだかすごくドキドキ嬉しくて、
歩いてるうちに、目の前がうっすらぼやけてきました。

前がよく見えないまま学校に着きました。

作文には、遠足の帰り道での、
先生の手の温かさについて、書きました。

私の作文を読みながら、先生が、
「手くらい、いつでもつないであげるのに」
と震える声で言って、
私の手をもう一度つないでくれました。

友達たちは、私の作文に何が書いてあったか
気になるみたいで、私に聞いてきました。

でも、私は照れくさくて、走ってトイレに逃げ込みました。
鏡を見たら、涙がこぼれそうになっていました。

ブルっと顔を洗い、パンパンと頬っぺを打って、
にっこり笑顔を作りながら、教室に戻りました。

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