子どもの頃は自分勝手なガキ大将だったそうです。
体の弱い父親は定職がなく、母親が力仕事で家計を支えていました。
兄弟は4人、家は貧しく、いつも腹をすかせていました。
転機となったのは、中学2年のときに問題を起こし、
家庭裁判所に父親と行ったときのことです。
近隣の中学を束ねる総番長だった彼は、
一種の濡れ衣を着せられて、納得がいかないまま連れてこられたのです。
ところが、父親は、自分よりうんと若い係官に何度も頭を下げて頼みました。
「この子は決して悪いことをする子じゃありません。
どうか許してやってください。
親思いのいい奴なんです。お願いします。お願いします。……」
ふてくされるわが子の前で、父親は深々と頭を下げ続けたのです。
その目には、うっすらと涙さえ光っていました。
父ちゃん、すまない。
彼も心の中で涙を流し、この日を境に悪ガキから足を洗うことを決意します。
その帰り道の出来事です>>>
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生まれて初めて、ラーメン店に入りました。
父はラーメン一杯だけ注文しました。
生まれて初めて食べるラーメンに心躍った彼は、
二人で一杯だけ頼んだラーメンを、 自分一人で食べてしまいます。
すると、父は微笑しながら、残りのスープに水を足して飲み干したのです。
そうだった、父ちゃんも、ずっと腹を減らしていたんだ。
父親の空腹にさえ気づかない、自分の無神経さに腹が立ち、
泣きたくなりました。
このときに彼は自分の心に誓うのです。
俺は必ず立派な人間になってみせる。
そして、両親を貧困から救ってやる!
それがボクシングを志す動機となり、
苦しい練習や減量にも耐えていける力となりました。
ガッツ石松さんはすでに引退しましたが、
自分が世界チャンピオンになれたのは、
家族の支え、ジムの人たち、
みんなの支えがあったからだと心から感謝しています。