世界一貧乏な大統領、ウルグアイのムヒカさんをご存じですか?

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る旅行者がヒッチハイクをしていました。

しかし、なかなか車は停まってくれません。

30台ほどやり過ごした頃、ようやく停まってくれた車がありました。

それは1987年製のフォルクスワーゲン・ビートル。

旅行者は乗り込んでビックリしました。

そこにいたのは大統領夫妻だったからです。

大統領夫妻は気さくに話しかけ、写真も撮らせてくれました。

なぜ大統領ほどの人物が、なんのゆかりもない人物を
車に乗せてくれたのか?

立場上、もしも危険な人物との接触であれば、大変なことになります。

もともとこの大統領、ムヒカさんは危険な修羅場を
さんざん潜り抜けてきた人物であり、
加えて、困ってる人を見たら手を伸ばさずにいられない人です。

その人柄ゆえに、見知らぬヒッチハイカーにも
気軽に手を差し伸べたのです。

このホセ・ムヒカ大統領は、「世界一貧しい大統領」
と呼ばれています。

その理由はこうです。

日本円で約140万円の大統領の給与ですが、
ムヒカ氏は、90%を福祉団体に寄付し続けているのです。

国民の平均月収とほぼ変わらない金額で暮らしているのです。

大統領に与えられる邸宅に住むことも拒み、
妻名義の農場で質素な生活を送っています。

警備をするのは警官二人と、三本足の飼い犬のみ。

ムヒカ大統領の資産としては、
愛車のフォルクスワーゲンだけだと言われています。

「世界一貧しい」と呼ばれても、
ムヒカ氏自身は、少しも不幸だとは考えていません。

むしろ、公職にあるものとして
誇りと考えているのかもしれません。

このムヒカ大統領の人生が映画化されることになりました。

カンヌ国際映画祭の最高賞を二度も獲得した
クリストリッツァ監督がメガホンを取ります。

この監督の心を打ったのは、ムヒカ氏の数奇な人生もさることながら、
2012年、地球サミットで彼が行った伝説的なスピーチでした。

もともと貧困家庭に生まれ、ゲリラ活動の経験もあり、
投獄されて13年間の服役経験もある大統領。

そのあまりにもストレートな問いかけは、
多くのメディアに取り上げられ、世界中の人が注目しました。

その日、各国首脳は、自分のスピーチを終わらせると、
ひとり、またひとりと消えて行ってしまいました。

世界中から何時間もかけて、この場に来ているのに、
人の話は聞かず、自分のスピーチだけ済ませて帰ってしまう。

ウルグアイのような小国の大統領の演説は、最後にまわされていました。

だから、彼のスピーチが始まる頃には、
もうほとんど誰も残っていなかったのです。

席を立ち、さっさと帰ってしまった人たちは、
随分惜しいことをしました。

これほどの魂の込められたスピーチの場、
その場の臨場感を、直に感じ得なかったのは惜しいとしか言えません。

実は、そんなおエライさん達にこそ、
耳を傾けていただきたい内容と迫力でした。

幸い、最後までカメラが回っていたのは、
私たち、一般市民にとって幸せなことでした。

これほど、ふつうの市民の心に直結する演説は
久しくお目にかかったことはありません。

(特に昨今の日本人には)政治家の意味不明で
牽強付会な答弁にうんざりしているところです。

ムヒカ大統領のスピーチの要点は、
こちらよりどうぞ>>>

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場にお越しの政府や代表の皆さま、
私の前に、ここに立って演説した快きプレゼンターの皆さまにも、
感謝いたします。

国を代表する者同士、人類が必要であろう国同士の決議を
議決しなければならない、素直な志をここで表現されているのだと思います。

しかし、ここで、私の頭の中にある厳しい質問を、
声に出させてください。

午後からずっと話されていたことは、
持続可能な発展と世界の貧困をなくすことでした。

私たちの本音は何なのでしょうか?

現在の裕福な国々の発展と消費モデルを
真似することでしょうか?

質問をさせてください。

ドイツ人が一世帯で持つ車と同じ数の車を、
インド人が持てば、この惑星はどうなるでしょうか?

息するための酸素が、どれくらい残るでしょうか?

同じ質問を別の言い方ですると、
西洋の富裕社会が持つのと同じ、傲慢な消費を続けたら、
世界の70億~80億人ほどの原料が、
この地球にあると言うのでしょうか?

可能ですか?

なぜ私たちは、このような社会を作ってしまったのですか?

間違いなく私たちが、この無限の消費と発展を求める
社会を作ってきたのです。

このような残酷な競争で成り立つ消費主義社会で、
「みんなの世界を良くしていこう」
というような共存共栄な議論はできるのでしょうか?

どこまでが仲間で、どこまでがライバルなのですか?

このようなことを言うのは、このイベントの重要性を
批判するためのものではありません。

その逆です。

我々の前に立つ巨大な危機問題は、
環境問題なんかではありません。

政治的な危機問題なのです。

現在に至っては、人類が作ったこの大きな勢力を
コントロールしきれていません。

逆に人類がこの消費社会にコントロールされているのです。

私たちは発展するために生まれてきているのではありません。

幸せになるために、この地球にやってきたのです

抜粋ではありますが、ムヒカ大統領の熱い想いが、
少数の聞き手に届こうとしています。

「貧乏な人とは、少ししかものを持っていない人ではなく、
 無限の欲があり、いくらあっても満足しない人のことだ」

という引用も出てきます。

演説の全部は、よろしければこちらの動画をご覧ください。
>>>ムヒカ大統領の伝説のスピーチ

後半より、ムヒカ大統領の熱が伝わってきます。

※ムヒカ大統領の在位は、2010年の3月より2015年の2月末日まででした。

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