その年の6年生は荒れていました。
だんだんと大人になっていく自分をもてあますかのように、
先生をバカにして授業放棄をしたり、
同級生や下級生に暴力をふるったりといった児童が多く、
全校でも大きな問題となっていました。
もうすぐ音楽会という時期でした。
6年生は、全クラスで一つの歌を、一緒に合唱することが
恒例になっています。
ですが、荒れに荒れた雰囲気の6年生は、
先生が指揮をしてもふざけて遊んでばかりで、
みんなで歌うことができません。
そこで児童の中から指揮者を出すことになり、
以前、他の学校から転校してきたM君が選ばれました。
M君は、張り切って、その大役に挑みました。
選ばれたM君、果して同学年のみんなから、
ちゃんと受け容れてもらえたでしょうか?>>>
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M君は指揮台に立ち、そして全身で感情をほとばしらせるように、
指揮棒を振りました。
ですが、そんなM君を迎えたのは、
同学年の児童からの嘲笑でした。
彼らには、M君のあまりにも一生懸命な、
全身を大きく動かす指揮が滑稽で、
おかしくて仕方なかったのでした。
「いいぞー!やれやれー!」
「なんだあ、あれ?」
といったヤジや爆笑が起きました。
当然、まともな合唱にはなりません。
ですが、M君は、そこであきらめませんでした。
笑われても、からかわれても、
一生懸命、全身全霊を注ぎこむような指揮をやめませんでした。
何日も何日も、何回も何回も、
M君は、一心に指揮棒を振り続けたのです。
そのうち、子供たちのM君に対する目が変わってきました。
だんだんとM君の指揮に合わせて歌う児童が増えてきたのです。
しばらく経つと、全員がM君の指揮に合わせて合唱をしていました。
M君のまっすぐな努力が、子供たちに受け容れられた瞬間でした。
音楽会の日、プロ顔負けの大きなアクションをつけ、
一心に指揮をするM君と、
普段は荒れて暴れることが多い6年生の美しい合唱に、
全校児童も保護者も、ひきこまれていきました。
会場となった体育館は静まり返り、
ピアノと6年生のきれいな歌声が響きます。
演奏が終わった後、客席から大きな拍手が起こりました。
M君は、他の6年生とともに客席を向き、
笑顔でお辞儀をしました。
またさらに大きな拍手が起こりました。
保護者の中には感動して、
目をハンカチで押さえている方々もいました。
同学年から信頼を寄せられたM君は、
中学生になってからも、必ず合唱の際には
指揮台に立っているそうです。
思春期の子供、特に男の子にとって、友達から笑われること、
カッコ悪いと言われることは非常につらく、
容認しがたいことのはずです。
一生懸命やるよりも、気乗りのしなさそうに、
仕方なくやるというポーズの方が
カッコいいと思いがちな年頃でもあります。
ですが、あきらめずに、自分が信じた方法を貫き通し、
最終的に周りから絶大な信頼を得て、
学年全員の姿勢を変えたM君は、
多くの人に感動を与えました。
笑われてもバカにされても、
自分の信念を貫き、一生懸命やることの大切さ、
その尊さをM君から学びとれるかと思います。