ある朝、いつもの場所に自転車を止めると、
そこから10メートルほど離れた高架下に住んでいた
ホームレスのおじさんが、右手を上げて
「おおーーっ!」と声を出しました。
私は反射的に「おはようございます!」
と大声で叫んでしまったのです。
が、次の瞬間、けげんな表情のおじさんを見て、
(しまった!ただ、あくびでもしただけだったんだ。
だいたい、見知らぬ私に挨拶なんてするわけないのに。
あーっ、恥ずかしい!)
と顔を真っ赤にして下を向き、
そそくさとその場を離れて、駅に向かいました。
その日は、夕方からいきなりの大雨でした。
傘をさしてもびしょびしょになるほどで、
駅からやっとの思いで自転車がある場所に戻りました。
すると「あれ?」
私の自転車が・・・?!>>>
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そこには、大きなむしろで覆われ、
この大雨からしっかりと守られている
私の自転車の姿がありました。
私はひとめで、
(あっ、今朝のおじさんがかけておいてくれたんだ!)
と分かりました。
むしろは、おじさんにとってはお布団のようなもの。
雨に濡れたらさぞかし困るだろうに、と思うと、
何だか胸が熱くなりました。
勘違いから生まれた、たったひと言の挨拶で、
こんな温かいつながりを持てるなんてと感動しながら、
降りしきる雨もなんのその、
自転車を飛ばして帰ったことを思い出します。
あれから20年、誰とでも挨拶をする習慣は、
5歳の息子にも受け継がれています。
人とのつながりは挨拶にあると、強く教えてくれた出来事でした。