わが家の娘、真理子は大の動物好きでした。
レストランに勤めていた夫は、ナチとコロのために、
毎日のように食べ残りの肉や魚を持って帰りました。
ナチとコロの飼い主がヤキモチを焼くほど、わが家になついていました。
娘が高校から帰る時間になると、まず玄関のドアをひっかいて、
まだ帰っていないと確かめて、玄関の前の石段の上で、
二匹揃って待っていました。
遠くに娘の姿を見つけると、全身でうれしさを表現して喜んでいたのです。
ナチはいつもコロを従えて、コロもナチより先に食べ物にも手をつけませんでした。
秋も深まった頃、コロが体調を悪くして、
飼い主は獣医に何度も連れて行きましたが、一向によくならず、
みんなで心配していました。
ある日の夕暮れ時、コロがシッポを垂れて、体を引きずるように、
やっとの思いで、わが家にやって来たのです>>>
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娘と私は、急いで肉を持ってきて、さぁ、お肉を食べて元気を出してと、
与えましたが、コロは肉を食べようとせず、
生垣の根元に、力ない足で土をかいていました。
コロ、具合が悪いのね?と娘と頭を撫でてやると、ただ、力ない目つきで、
娘の顔を上目使いに見ていました。
そして、しばらく後に、すごすごと帰っていきました。
それっきり、コロは私たちの前に姿を見せることはありませんでした。
冬が来て、めずらしく雪が降り積もりました。
そんなある日、ナチが私を誘うように、振り返り振り返り、
山へ山へと入っていくので、私もナチについて、山に入りました。
そして、一本の木の根の所を、一生懸命に足でひっかくので、
私も一緒に雪をかけ分けました。
何と、そこには、コロの死がいが、半分くさりかけてあったのです。
私は驚きと悲しみで、泣きながらナチの頭を撫でて、
よく教えてくれたねと、ナチに頬ずりをしました。
急いで家に帰り、段ボールと布を持って来て、
コロの死がいを布に包んで箱に入れました。
そして、一緒に持ってきたスコップで穴を掘り、
こんもりと土を盛り、近くにあった石をその上に置きました。
静かに手を合わせ、後ろ髪を引かれる思いで、ナチと一緒に帰りました。
その日、学校から帰った娘に、一部始終を話しました。
娘はワアワア泣きながら、コロが眠っている所へ走っていきました。
あれから、数十年経ちましたが、人間にも劣らない、
ナチとコロの友情を忘れることはありません。