こんな風なお役所仕事もあります

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子家庭の手続きのため、お役所を訪ねたT子さんのお話です。

T子さんは、夫と余儀なく離婚をし、
ふたりの男の子を抱えて、身も心も疲れ果てていました。

男の子のうち一人は、知的障害者でした。

これからの生活のことを考えたら、気持は重くふさぎこむばかりでした。

その日、母子家庭となり、
いろいろの手続きをするためお役所に向かったT子さんです。

お客様相手の仕事であったため、就業時間が過ぎても
キッチリ時間通り帰れないことがあります。

その日も役所には、前もって時間を約束していたのに、
その時間には間に合いそうにありませんでした。

やっとその日の仕事から解放されて役所に向かいました。

しかし到着したのは窓口が閉まる間際の時間。

遅れる連絡はしてあったのですが、何せお相手はお役所です。

少しでも時間に遅れたら、その日の手続きは無理なのが通例です。

T子さんに応対した女性事務係の態度はこうでした>>>

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らかじめT子さんから連絡を受けていた役所の女性事務係の方は、
電話の話でT子さんの経緯を了解していました。

彼女は、役所のコンピュータなど機械設備が時間切れで終わらないうちに、
必要な書類をすべて用意して待っていてくれたのです。

おかげで、T子さんが窓口に駆けつけたときには、
手続きはほぼ終わりに近い状態でした。

T子さんは時間ギリギリに間に合ったのです。

話をしているうちに、T子さんは思わず涙を流してしまいました。

応対する事務係の女性はこう言いました。

まだ涙が出るわよね。もうしばらくの辛抱よ

とさりげなく胸の内を明かしてくれました。

世間でお役所仕事と言われる中、彼女の行為はT子さんの胸にジンと沁みこみました。

おまけに優しい言葉は、
少し荒みかかったT子さんには、神様の声のように聞こえたのです。

相手を思いやる心と言葉。

そのひと言、ほんのひと言がお相手の人生の支えとなることもあるのですね。

参考本:涙が出るほどいい話  出版:河出書房新社 小さな親切運動本部編

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