その頃、両親は共稼ぎで、家にはおばあちゃんしかいませんでした。
いつもお昼を食べてから、近くの小さなお菓子屋さんに連れて行ってくれて、
いくつかのお菓子を選ばせてくれました。
なぜ、私をわざわざ連れて行って選ばせるかというと、
おばあちゃんが選ぶと、かりんとうだったり、おせんべいだったり、
私のあまりお好みじゃないものになるからでした。
私はクッキーやチョコなどが好きだけど、
そういうお菓子はおばあちゃんには分からなかったのです。
その日も私は、おばあちゃんといつものようにお昼を食べてから、
お菓子屋さんに行って、自分の好きなお菓子を選びました。
絵本を見たり、玩具で遊んだりしながら、
おやつが出てくる3時をワクワクしながら待っていました。
そして、テレビの上に乗ってる時計の針が、やっと3の所に来ると、
おばあちゃんが台所から、お皿にお菓子を乗せて持ってきました。
それはいつもより美味しく、アッという間に無くなってしまいました。
何も無くなったお皿を見て、私は悲しくなりました。
それはいつもより、とっても美味しかったからでした。
そのことをおばあちゃんに伝えました。
そうしたら、おばあちゃん、思いもかけないことをしたのです>>>
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おばあちゃんは、テレビの上に乗っている時計を取って、
後ろのネジをまわし始めました。
すると、その時計は何事もなかったかのように、
3時10分前に戻ったのです。
そして10分後、魔法のように時計はまた3時になって、
おばあちゃんが、お皿にお菓子をのせて持ってきました。
これが一生で、たぶん一度きりの3時が二度来た日。
遠い記憶の幸せな時間。
今、おばあちゃんは寝たきりになってしまいました。
もう歩くこともできません。
今でも、おばあちゃんの寝ているベッドの横に座って、
時計を見ると思い出す古い記憶。
しかし、私は今でも待っています。
おばあちゃんがベッドから起き上がって、
テレビの上の時計を回すことを。