もう随分前のことなんですが、私が嫁さんと結婚してから
2、3年が経った頃の話だったと思います。
(私は、世間でいうマスオさんです)
嫁さんの祖母アサエお婆ちゃんと夕食が終わった後、
その場に二人きりになった時のことでした。
(ちなみに、その当時は、まだアサエお婆ちゃんの
認知症は出ていませんでした)
アサエお婆ちゃんが、私に向かって、真面目な顔で、
自分の葬式の事を話し始めたのです。
「私が死んだらね、普通は真っ白の着物とかを
着せると思うばってん、私には、タンスの中に
入っとる右下に花の模様が
刺繍されている着物を着せてね」
と言うんです。
普段はとても地味なお婆ちゃんが、なぜだろうと思い、
「なんで?」
と聞いてみると、
思わぬ言葉が返ってきたのです>>>
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「私はね、主人が戦争に行って、1年ちょっとしか寄り添うとらんと。
だから、死んでもう一度主人とあの世で結ばれたいから、
花嫁の時に着た衣装ば着せてくれんね」
と・・・。
私は言葉も出ず、酒を飲んでいたせいもあり、
涙がポロポロ・・・。
その後、その衣装は一度も探していません。
もし見つかると、なんとなく嫌な予感がしたりして、
見つけることができないんです。
そんなお婆ちゃんは、今でも毎日、何度となく仏様に手を合わせています。
「矢田部新聞」第18号より。