私が小学校に入るまえに父が亡くなり、
母と姉妹3人で暮らしていました。
母は、パートの収入頼りでしたが、
当時は母子手当ても今より多かったことから
貧しいながらも、何とか暮らしていけたようです。
ある日、子供会のクリスマス会で、
プレゼント交換のイベントがありました。
各子供、500円までのプレゼントを持ち寄り、
それを音楽に合わせて回して交換するという、
どこにでもあるような催しだったんです。
私の家は、述べた通り貧乏で、
500円のプレゼントを3個買うのは厳しかったみたいです。
母が、家にある物を見つくろい、
それをプレゼント用として準備しました。
中身は、賞味期限間近の饅頭と鉛筆3本でした。
それを広告紙で包んで持っていきました。
公民館に着き、ケーキを食べた後、
いよいよプレゼント交換のイベントが始まりました。
みんなはプレゼントを、バックから出して
手にそれを持ち、輪になりました。
みんなのプレゼントは、
大きくてキレイな包み紙に包装されています。
私たち姉妹だけが、手にしているのは
広告紙に包まれたプレゼント。
とても場違いな空気に、私たちはオロオロしていました。
音楽がかかり、プレゼントが回っていきます。
私達のプレゼントが半周したところで音楽が止まりました。
「ええーーー!!なにこれーー!!」って、
広告紙のプレゼントを嫌そうに見つめる男の子。
大きな箱は私の手元にあり、気まずい空気です。
男の子は、広告紙を破って中身を確認しようとしました。
私は次の瞬間、箱を持ったまま走って
その男の子のところへ行きました>>>
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「これ、代えようよ!私そっちがいい!」
と広告紙に包まれ、つぶれた饅頭を
無理やり奪って公民館を飛び出しました。
後ろからついてくる妹達、
妹達の手にも破れかけた広告紙のプレゼントがありました。
家に帰りながらつぶれた饅頭を姉妹で食べました。
饅頭を口にしながら、涙がこぼれ落ちてしまいました。
家に着くと鉛筆をポケットにしまい、
母にバレないように机に入れました。
なぜ気づいたのか分かりませんが、
目を真っ赤にした母が枕元に座り、しきりに理由を聞きました。
でも、私は答えることが出来ませんでした。
貧乏を憎いと思った、私のほろ苦い幼少の思い出です。
今では会社を起こし、周りからは若手起業家などと持ち上げられています。
でも、忘れません。
あの時の鉛筆は、今でも仕事のデスクに広告紙で包んで持っています。